https://news.livedoor.com/article/detail/21802251/
言うまでもないことだが、武器を使うにしても、兵士を戦場に送り込むにしても、戦争には金がかかる。
戦争が終わった後には「軍人恩給」という形で保障もしなければならない。勝っても負けてもその損失は極めて大きい、と考えるのが自然だ。
にもかかわらず、なぜ政治家は戦争をするのか……。
極めて不可解だが、メンツと自分の政治的立場を守るために、国民を危険に追いやることもいとわない。それが政治家の思考回路なのかもしれない。
実際に、これまで戦争でどれぐらいのお金が使われたのだろうか。まずは過去の戦争の経費について見てみよう。
『戦争の経済学』(ポール・ポースト、山形浩生訳、バジリコ刊)によると、アメリカがこれまで経験した大きな戦争のコストは、次の通りになるそうだ。
〈アメリカの主要戦争の直接費用総額、戦費総額の終戦年GDP比〉
・第1次世界大戦…… 260億ドル、36%
・第2次世界大戦…… 2880億ドル、132%
・朝鮮戦争…… 540億ドル、14%
・ベトナム戦争…… 1110億ドル、8%
・湾岸戦争…… 610億ドル、1%
・イラク戦争……月額40億〜50億ドル、1%以下
金額ベースでの費用総額は、長い年月が経っているために簡単には比較できないが、最終年のGDP比を見るとその大きさがわかる。
実際に、1939〜1945年まで行われた第2次世界大戦では、戦勝国のアメリカでさえも最終年GDPの132%ものコストをかけている。
当時の物価水準を考慮に入れないと比較できないが、現在の貨幣価値に換算して考えてみるとわかりやすい。
アメリカの現在のGDP(国内総生産)は約20.94兆ドル(2020年)。その132%といえば「27.64兆ドル」。日本円にしてざっと3178兆円(1ドル=115円)にも達する。
いかに莫大な金がかかるかがわかる。しかも、アメリカは戦勝国であり、1941年の途中から参戦している。
これが敗戦国であればどんなことになるか、想像がつくというものだろう。
ちなみに、アフガン戦争のコストは2001年9月11日からの20年間で、2兆2600億ドル(約247兆円)というブラウン大学の「戦争のコストプロジェクト」が算出している。
また、イラク戦争は少なくとも3兆ドル(約305兆円)という見積もりをアメリカの著名経済学者ジョゼフ・スティグリッツ氏が著書で書いている。
戦後、旧大蔵省が調査した資料によれば、日本の日中戦争を含む太平洋戦争における大まかな戦費総額は、約7600億円(一般会計+特別会計)。
あくまでも旧大蔵省が調べたものだけであり、アメリカの2880億ドルに対して少ない印象があるかもしれない。
当時の日本のGDP(当時はGNP、国民総生産)が「228億円」(1937年)であることを考えると、GDP比率は実に「33倍」にもなる。
国家予算に対する比率は「280倍」という途方もないデータもある。
ちなみに、太平洋戦争時の費用については当時の金額で1935億円、GDPの「8.5倍」という説もある。はっきり言って詳細はわかっていない。