世界最大の資産運用会社、米ブラックロックでヘッジファンドを手掛けるチームの一つは、ロシアのウクライナ侵攻をロシア株買い増しの機会と捉えた。しかし、その判断は裏目に出た。

  ブラックロックの「エマージング・フロンティアーズ・ファンド」は2月の運用成績が10%超のマイナスと、約10年前の運用開始以来最悪の損失に見舞われた。事情に詳しい複数の関係者の話やブルームバーグが確認した投資家向け文書で明らかになった。同ファンドの1月末時点の運用資産は9億6000万ドル(約1111億円)。年初来成績は約7%のマイナスになったと、関係者らは匿名を条件に話した。

  同ヘッジファンドでは、1月に調査目的でロシアを訪問した後、ロシアへの投資が2月初め時点で最大のロングポジションの一角を占め、資産全体の9%を同国株に投じていたことが文書で示されている。関係者の1人によれば、同ファンドの運用チームを率いるサム・ベヒト氏は投資家に対し、ウクライナ侵攻が始まった際に持ち高をさらに増やしたと伝えた。同ファンドはこうしたポジションを全て解消し、現在はロシアへのエクスポージャーがゼロになっていると、関係者2人は述べた。

  ブラックロックの広報担当者はコメントを控えた。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-03-09/R8HJGLT0AFBU01