関係者の紹介により、いの一番に訪ねたのが、アンパンマンの父・故やなせたかし氏(享年94歳・2013年逝去)のもとだった。そこで『アンパンパンが奇跡の一本松を助ける!』という企画も持ち上がったがやなせ氏が「それはできない」と固辞したという。

「東日本大震災では多くの街に大変な被害が出た。アンパンマンはたった一つの街を助けるわけにはいかない!でも、やなせたかし個人としてこの一本松を助ける」という思いからだった。

実はやなせ氏は当時、90歳を越えた自らの人生をこの一本松に投影していた。応援歌やイラストをノーギャラで描き、その収益をすべて寄付することを決めた。復元するために1億5000万円の費用がかかると聞くと「やなせ先生は全額私が出しましょう、と仰ってくれた。驚きました。でも、さすがにそれは遠慮させていただきました」(戸羽市長)。

全額寄付を申し出たやなせ氏は個人で1000万円を寄付。このことを機に、日本だけではなく世界から寄付が集まり始めた。

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