東電・小早川社長「説明を聞いてもらえる状況にない」 福島原発の処理水海洋放出に反対する漁業関係者との協議
2022年3月11日 20時39分

 東京電力の小早川智明社長は11日、福島第一原発の汚染水を浄化処理した後の水の海洋放出を巡り、反対している漁業関係者との協議について「説明を聞いてもらえる状況にない」との認識を示した。同原発で職員に訓示後、南に9キロ離れた東電廃炉資料館(福島県富岡町)で報道各社の取材に応じた。

 昨年4月に政府が処理水の海洋放出方針を決めてから、小早川氏は漁業関係者と個別に会っての説明を1度もしていない。

 小早川氏は「一方的に説明するのではなく、漁業関係者の方から『説明を聞きたい』と言っていただいてから説明するのも重要」と主張。「機会が整い、課題が整理された段階で、私が説明に向かう」と述べた。

 東電は2015年に福島県漁連に、当時の社長名の文書で「理解なしにいかなる処分(海洋放出)もしない」と約束。小早川氏は「必ず守る」と断言した。 

 一方で、放出反対への対応について、東電は「理解を得るよう努める」と繰り返すが、トップが先頭に立つ姿勢を示していない。小早川氏はこの日も「分かりやすく正確な情報提供に努める」とするだけだった。(小野沢健太)

https://www.tokyo-np.co.jp/article/165131