コロナ禍で「大学生活のアピールポイントがない…」“巣ごもり就活生”の嘆き
https://news.yahoo.co.jp/articles/df45db03ffb7da2f4f12c88dac016c81ab3e843c
「どうせ『コロナ世代の若手社員は』なんて、あーだこーだ言われるようになるんでしょうね」

コロナ禍で3年目の就活スタート 2023年春卒生は企業の採用増加で「売り手市場」に

 都内の私立大に通い、この春から社会人になる健太さん(21=仮名)は苦笑いする。

「(大学)3年生からコロナ禍で、授業も就活もほぼオンライン。1年生から続けていた飲食店のアルバイトもできなくなりました。愛校心はゼロですし、卒アルも卒業式も要らない。思い出? 就活の時に何をアピールすればいいのか困ったことぐらいです」と健太さんは遠い目をした。

 そりゃそうか。長引くコロナ禍でサークルやボランティア活動、アルバイトも難しくなった。海外留学もしかり。就活で定番の自己PRは“壊滅状態”に。採用担当者に「ひたすら巣ごもり生活していた」とは言えないし、「気にせず遊び回っていた」では、ドン引きされるだけだろう。

 来春卒の就活も本格的にスタートしているが、就活情報を手がけるディスコキャリタスリサーチの調査によると、来春の採用見込みは2月時点で「増加」が26.6%で、「減少」の6.0%を上回っている。また、3月1日時点の内定率は28.6%(前年21.1%)。

 企業の採用意欲は、コロナ禍で控えた前年の反動で前のめりに高まっているようだが、その一方で「大学生活のアピールポイントがなさすぎると悩める就活生は少なくない」(都内私立大就職課職員)らしい。

 人事ジャーナリストの溝上憲文氏が「あくまで一般論ですが」と前置きしつつ、こう話す。

「今の就活生が以前のような大学生活を送れないことは、もちろん採用担当者も承知しています。むしろ自分たちとは違う経験をしてきた今の大学生が何を考え、どう過ごしてきたかを知りたがっている。とはいえ、大袈裟な体験談を求めているわけじゃない。例えばコロナ禍でもコミュニケーションを工夫して交友関係を広げたとか、どんなささいな話であっても、担当者が『へえ』と思える、就活生の人間性を理解するための会話の糸口になればいいのです」

 大事なのは何を考え、どう行動したか。コロナ後を見据えて「資格の勉強に励んだ」でも構わない。100年に1度のパンデミックにもめげず、前向きに過ごしてきたというだけで、ストレス耐性が高いことの証明になり、アピールポイントになるというわけだ。

 就活生のわが子が焦っているようなら、そうアドバイスしてやればいい。