アメリカンフットボール・オービックシーガルズ(千葉県習志野市)の元チアリーダー、山口紗貴子さん(43)が2月、米ナショナル・フットボールリーグ(NFL)の王座決定戦「スーパーボウル」でパフォーマンスを披露した。
努力でつかんだ大舞台は「言葉にならない感動だった」。
今後は、後輩の育成に力を注ぐつもりだ。

 東京都出身。
名門の玉川大チアダンスチームで活躍した。
卒業後、2006年から5年間、オービックのチアとして活動し、アメフトに魅了された。

 13年に本場・米国で観戦したNFLの光景は、今もはっきり覚えている。
観客の数、応援の熱気、迫力ある演出――。
華やかなチアは別世界の人に見えた。
当時は30代半ば。
「今を逃したらきっと無理だ」とNFLへの挑戦を決意した。

 翌年からオーディションを受け続け、18年、5度目でシンシナティ・ベンガルズへの入団を勝ち取った。
だが、立場が約束されたわけではなかった。
メンバーになっても毎年、ベテランでも落ちることがある試験を課された。
試合でパフォーマンスできるのも選抜メンバーのみ。
日本と違うヒップホップ調のダンスへの適応も求められ、常に重圧にさらされた。

 「毎日がオーディションのようなもの。周りの倍以上やらないとついていけない」と、筋トレや練習に明け暮れた。
いつしか、メンバーからは「Hardest Worker(一番の努力家)」と呼ばれた。

 ただ、スーパーボウルは遠くに見えた。
ベンガルズは近年、勝てないシーズンが続き、19年は16試合でわずか2勝。
スタンドからヤジが飛んでくるのはチアとしてもつらかった。
ところが、今シーズンは若手の活躍で躍進。
33シーズンぶりに王座決定戦に進んだ。

 スーパーボウルは米国最大のスポーツイベントと言われる。
今年は日本時間2月14日、会場の米ロサンゼルスを本拠地とするラムズとベンガルズが対戦し、1億人以上が視聴した。

 会場はアウェー。
それでも、山口さんはチームカラーのオレンジ色の衣装で力強いパフォーマンスを披露し、スタンドを沸かせた。
試合には逆転負けしたものの、「会場がキラキラしていた。言葉にならない。夢の中のようだった」。

 今後は、NFLなどのチアを目指す後輩に技術や心構えを伝えていく予定だ。
「一歩踏み出すのが怖ければ、まずはつま先だけでもいい。諦めずに続ければ何かいいことがあるかもしれない」。
自らの経験から語る言葉で、奮い立つ人がいると信じている。

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