https://www.yomiuri.co.jp/world/20220315-OYT1T50259/
ウクライナへの侵攻を続けるロシア軍は15日、首都キエフの住宅街や東部ドニプロの空港などに攻撃の対象を拡大した。
露国防省は南部ヘルソン州全域の「制圧」を発表した。ウクライナ軍の抵抗により、キエフ周辺では進軍の停滞が伝えられており、
露軍は遠距離からのミサイル攻撃に重点を移しているとみられる。
ウクライナ国営通信などによると、キエフ西部にある16階建てと9階建ての高層住宅が15日朝、それぞれ露軍の砲撃を受け、4人が死亡した。
ドニプロでは露軍が空港をミサイルで攻撃し、滑走路などを破壊した。
露国防省は14日の発表で、ウクライナ軍が短距離弾道ミサイル「トーチカU」を親露派支配地域のドネツク市の住宅街に向けて発射し、
民間人20人が死亡したと主張した。ウクライナ側はミサイル発射を否定しているが、プーチン露大統領は「野蛮な行動」と非難しており、
攻撃を強めた可能性がある。
14日には西部リウネ近郊のテレビ塔もミサイル攻撃を受け、地元メディアによると19人が死亡、9人が負傷した。
露国防省は15日、露軍が13日に攻撃した西部リビウ州の軍訓練施設を占拠し、米国が供与した対戦車ミサイルなどを接収したと発表した。
露国防省が制圧したと発表したヘルソン州は2014年に併合したクリミアに隣接しており、クリミアの孤立化解消を狙っている可能性がある。
一方的な住民投票で、親露派の「ヘルソン人民共和国」樹立を画策しているとの見方がある。
軍訓練施設への攻撃に関し、米国防総省高官は14日、記者団に、露軍の爆撃機が撃墜を避けるため露上空から20発以上の
長距離巡航ミサイルを撃ち込んだとの分析を明らかにした。
この高官はキエフなど主要都市への露軍の進軍が停滞しているとの見方を示し、一部は作戦変更のため進軍を意図的に停止している
可能性を指摘した。市街地への無差別な砲撃は「明らかに増えている」と述べた。
一方、ウクライナ国営通信によると、南東部のザポリージャ原子力発電所を占拠している露軍が14日、敷地内で弾薬を爆発させた。
国際原子力機関(IAEA)などは放射線量は基準値内にあると発表した。原発敷地内で不発弾の処理作業が行われていたという。