アサリ産地表示ルール厳格化 輸入品の国産表示、事実上不可能に
中国などから輸入されたアサリが「熊本県産」と産地偽装されて大量に流通していた問題を受け、消費者庁と農林水産省は18日、アサリの産地表示ルールを厳格化すると発表した。アサリを含む生鮮品には生育期間が最も長い場所を原産地表示する規則があるが、輸入アサリについては事実上、国産に表示を切り替えられなくする。今月下旬にルールを見直し、アサリの産地表示に対する信頼回復につなげたい考えだ。
食品表示法の基準には、生鮮品は2カ所以上で生育した場合、生育期間が最も長い場所を原産地と表示する通称「長いところルール」がある。ただ、アサリは見た目で生育期間を判別するのが困難。海中での一時保管と養殖の区別も曖昧で、悪意ある業者が短期間保管しただけで「長期間育てた」と偽って国産表示で販売するケースが相次いだ。
そこで今回、輸入アサリを国産と表示できるのは、輸入時期や生育期間が分かる書類を保存し、1年半以上養殖した場合に限定した。稚貝が食べられる大きさに生育するまで3年程度かかる点を踏まえたが、日本では数カ月置くのが限界との指摘もある。水産庁の担当者は「ハードルが高いルールに見直すことで、国産への産地切り替えが事実上できない仕組みにした」と説明する。
アサリを巡っては、農水省が2021年10〜12月に全国のスーパー約1000店舗での販売実態を調査。その結果、熊本県産の21年の年間漁獲量(35トン・速報値)を大幅に上回る推計2485トンの「ニセ熊本県産」が出回っていることが判明した。こうした事態を受け、熊本県は4月上旬ごろまで出荷を停止している。
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