国連安全保障理事会は17日、ウクライナの人道危機に関する公開会合を開いた。国連のディカルロ政治局長は、ロシアによるウクライナ侵攻が始まって以降、少なくとも民間人1900人が死傷したと報告。
ロシアを「侵略者」と非難する米欧に加え、安全保障上の問題ではロシアの立場に一定の理解を示す中国やインドも人道状況の悪化に懸念を示した。ロシアを擁護する発言は聞かれず、ロシアの孤立が際立った。

国連によると、2月24日の侵攻開始後、ウクライナでは人口密集地への攻撃により病院や住宅、学校、劇場、宗教施設などが破壊され、子供52人を含む726人が殺され、子供63人を含む1174人が負傷した。

ロシア代表は「ウクライナと米欧の偽情報だ」と主張したが、現地の惨状が報道や会員制交流サイト(SNS)を通じて世界中に伝わり、各国の理解を得にくくなっている。
インド代表は「深い懸念」を表明し、中国代表も「深く心配している」と述べた。

人道危機をめぐっては、フランスとメキシコが「ロシアの責任を追及する決議案の国連総会での採択」を目指している。
対抗するロシアは18日に独自の人道決議案を諮ると安保理に伝えていたが、ネベンジャ露国連大使は17日の会合で、米欧が他の理事国に反対するよう「前例のない圧力」をかけたと非難しつつ、18日の採決断念を表明した。

ロシア案について、アイルランド代表は採決にかけても15理事国のうち「賛成するのは(ロシア)一カ国だけだ」と指摘。外交筋は「公開の場で敗北するのを避けた」とみている。
https://news.yahoo.co.jp/articles/d5241af1c0f2d6d634c5e77e115b5c0ec2809ba5