首都圏行きバスに長い列 東北新幹線運休、年度末の往来打撃
16日深夜の地震による東北新幹線の区間運休で、思わぬ大打撃を受けている人がいる。卒業式や進学、就職などで首都圏などと往来する人々だ。東北と首都圏をつなぐ「大動脈」が不通になった影響は大きく、市民からは早期復旧を望む切実な声が出ている。
東京行きの乗客などで長い列ができた高速バス乗り場=18日午後1時ごろ、JR仙台駅東口
18日午前9時前、冷たい雨が降りしきるJR仙台駅東口(仙台市宮城野区)の長距離バスターミナルは、新宿行きのバスを待つ長い列ができていた。
「仙台に来れば何とかなると思った」。今春、東京で社会人になる男性(21)が疲れ切った表情で語った。
二戸市在住。東京に引っ越しする2日前に地震に遭った。新幹線運休を知り、急きょ父親の車で仙台へ。「何社も問い合わせ、何とかチケットが取れた。災害なので仕方ないが、早く新幹線が復旧してほしい」
須釜菜々香さん(22)は福島市のJR福島駅前から東京行きの長距離バスに乗り込んだ。
都内の大学4年生。出身の福島市で新生活の準備中だった。19日は大学の卒業式に臨む。「バスは新幹線の2倍時間がかかる。式当日は着付けで早起きしなければならないが、出席できるだけでもうれしいと思わなければ」
東北新幹線は地震による脱線事故で那須塩原−盛岡間の終日運休が21日まで続く。設備被害が集中する福島−仙台間は今月中の全線復旧が難しいとみられている。
人々の往来が多い年度末でもあり、新幹線が利用できないダメージは大きい。「バスは時間がかかり、疲れもたまる」と今春から仙台で働く東京の女子大学生(22)。4月に仙台市役所に就職する岩手大理工学部4年東山幸汰郎さん(22)=盛岡市=は「移動の予定が立てられず心配だ」と困惑する。
就職活動中の福島大3年の広瀬辰馬さん(21)=福島市=は「バスも飛行機も予約がいっぱい。4月には東京方面で面接が集中しているので早く復旧するか、代わりの交通手段を用意してほしい」と語る。
新幹線を通勤手段として利用する人も頭を悩ませている。盛岡市の職場まで新幹線で通う仙台市青葉区の公務員男性(48)は「17日朝は何とか高速バスの席が取れ、夜は盛岡のホテルに泊まった。バス通勤だと片道約2時間半かかるので大変。仙台−盛岡間だけでも早く再開して」と願った。
https://kahoku.news/articles/20220318khn000048.html