【カイロ=共同】シリアのアサド大統領は18日、アラブ首長国連邦(UAE)を訪問した。UAEの国営首長国通信が伝えた。事実上の最高権力者であるアブダビ首長国のムハンマド皇太子らと会談。ロイター通信によると、2011年にシリア内戦が始まってからアサド氏がアラブ諸国を訪れたのは初めて。
アサド政権を認めていない米国務省のプライス報道官はロイターに「深い失望」を表明した。
アラブ諸国は内戦を機にシリアのアラブ連盟参加資格を停止するなどアサド政権と距離を置いたが、アサド政権の勝勢が固まり、「内戦後」に向けて動きだしている。ムハンマド氏は「シリアはアラブの安全保障の支柱」と述べ、両国の連携を強調した。
首長国通信やシリア大統領府によると、シリアに駐留する「外国部隊の撤退」についても協議した。アサド氏は「主権や国民の利益を守り続けなければならない」と述べた。駐留米軍や反体制派を支えるトルコなどの存在が念頭にあるとみられる。
アサド氏はドバイ首長国のムハンマド首長とも会談した。
アサド政権は内戦でロシアとイランの軍事支援を受ける一方、米欧の制裁により外交的に孤立してきた。UAEはエジプトなどと共に、シリアのアラブ連盟復帰を後押ししている。
米国、英国、ドイツ、フランス、イタリアは15日、アサド政権との関係正常化を拒否し、関係改善の努力も「支持しない」とする声明を共同で発表していた。
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