野良猫ゼロ達成か 西表島、「最後の2頭」捕獲
2022年03月19日 社会・経済 , 地域・教育 , 自然・科学
https://www.y-mainichi.co.jp/news/38304
成功なら世界でも先進事例
西表島の生態系を守ろうと18年前からスタートした野良猫保護収容事業が実を結ぼうとしている。
これまでに505頭が捕獲され、ほとんどのネコが飼い主の元に返されたり、新たな飼い主の元へ引き取られたりした。
町から委託を受けるNPO法人どうぶつたちの病院沖縄(長嶺隆理事長、うるま市)によると、最後まで捕まらなかった野良猫2頭を今年3月1日に捕獲。
これで島内の野良猫はいなくなったとみられる。同島では環境省の事業で2019年にシロアゴガエルの根絶に成功しており、今後のモニタリング調査に注目が集まる。
2004年から始まった野良猫の捕獲は05年度に169頭と最多を記録したが徐々に減少。ここ10年では14年度の25頭をピークに20年度は1頭が捕獲されたのみだった。
21年度はセンサーカメラや目撃情報から残り2頭の存在が確認されていたが、警戒心が強い個体で半年以上もの間、捕獲に失敗。わなを仕掛ける環境やエサを変えるなどして粘り強く挑んだ末、3月1日にそれぞれ捕獲に成功した。
最後に捕獲された2頭を含め、ここ数年は猫免疫不全ウイルス(FIV)や猫白血病ウイルス(FeLV)の感染例もなく、長嶺理事長は「島は今、非常にクリーンな状態といっていい。
竹富町の取り組みと地域住民の協力のたまものだ」と強調する。ほとんどのネコが譲渡につなげられたのも大きな成果となった。
一方、19年に同島で根絶宣言が出されたシロアゴガエルは宣言から2年、最後の確認から4年たった21年に石垣島から侵入したとみられる個体が発見されており、関係者は島外からのネコの持ち込みに神経をとがらせている。
同病院の中西真紀子獣医師は「竹富町の飼養条例が施行され10年たち、新たにネコを飼いたいという人も増えてきている。
条例を順守し、西表島の自然を守ってほしい」と呼び掛けている。
西表島のネコ対策は世界的に見ても先進的でまれな成功例だと言われており、関係者らは「ネコ問題を抱えるほかの地域でも西表の手法が生かせるようにこれまでの取り組みを分析した上で客観的、科学的に評価していきたい」と話す。
野良猫の捕獲は当初、環境省などが行っていたが、12年からは町が県の一括交付金を活用して実施。最新の報告書によると、島内で確認されている飼い猫は昨年11月末時点で132頭。条例に基づくワクチン接種99・3%、不妊化手術100%、マイクロチップ装着99・3%と非常に高い数値を保っている。
町では完全な野良猫ゼロを目指しており、世界自然遺産推進室の仲盛敦室長補佐は「今後、見つからない期間が続き、野良猫ゼロ宣言を出せるよう目撃情報の収集やセンサーカメラなどでモニタリングを継続し、警戒していきたい」と話している。
同病院では捕獲されたネコの里親を募集している。問い合わせは(050―5526―2969)まで。
最後に捕獲された2頭の野良猫(どうぶつたちの病院沖縄提供)
https://www.y-mainichi.co.jp/files/entry_files/38304/38304.jpg
https://www.y-mainichi.co.jp/files/entry_options/38304/photo01/big_20220319.png