日本のカジノがアニメだらけになりそうな理由
https://nomuratomoaki.hateblo.jp/entry/2022/03/21/170540
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■日本版カジノはどのような内容になるか
さて一方、日本のカジノを管理するのは法で定められた「カジノ管理委員会」です。
カジノのマシーンの“内規”を(パチンコのように)管理するのはどこなのかはわかりませんが、
恐らくカジノ管理委員会内部の組織になると思います。

ところで、大阪のカジノの整備計画では機械式ゲーム(スロットマシンとかテレビゲームのようなものと思われる)
が6400台置かれることになっています。誤字ではありません、「6,400台」です。

一般的な海外のカジノでもスロットマシンの台数は1000台前後だということですから、これは異常な多さです。

日本国内の都市郊外にあるような超巨大パチンコ店舗の設置台数は1500〜2000台くらいが多く、
日本最大の店舗でも3000台くらいだそうです。大阪のカジノはその2倍から3倍くらいのイメージでしょうか。

大阪カジノが海外の高級エンターテイメントや紳士の社交場的なイメージよりも
「超巨大なパチスロ店」に過ぎないと言われているのは、このあたりが理由です。

大阪のカジノ事業者も「主な客は日本人」と認めています。
コロナ禍もあってインバウンドが期待できない中、
大阪カジノは当初の訪日外国人旅行客をターゲットにした計画から大幅に変更が加えられました。
現在の大阪カジノは「外貨を稼ぐモデル」ではなく、
「外国のカジノ業者が日本人から金を稼ぐ計画」に変わっているのです。

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冒頭に挙げた書籍の中で大変おもしろかったのが「パチンコがアニメだらけになった理由(わけ) 安藤健二著」という本でした。
本書の内容を簡潔に紹介すると次のようになります。

保通協の縛りによって台の差別化が難しくなったパチンコ・パチスロメーカーは、
アニメや著名人をモチーフに起用することによって売り上げを伸ばす道を模索しました。
折からの液晶画面の普及や台の高性能化もその流れを後押しすることになります。
結果、美空ひばりからエヴァンゲリオン、果てはちびまる子ちゃんの作者まで
パチンコ化されてしまうというとんでもない状況が生まれました。

一方で、市場が低迷し業界全体がジリ貧に陥っていたアニメ業界には、
版権をパチンコに卸すことで糊口を凌ぐという構図ができあがってしまいます。

表立ってはあまり語られないということですが、社会現象化した某セカイ系現代SFロボットアニメも
パチンコのタイアップ料収入によって劇場版を制作できたと本書には記されています。

また某世紀末拳法マンガの原作者はパチスロ機のヒットで数百億円のタイアップ料を手にしたと言われています。
(一部の)アニメ関連企業が本業のアニメ制作ではなくパチンコマネーに依存して存続できているというのは公然の業界タブーとなっているようです。
ともあれ、それぞれの業界の利害が一致することで、このビジネスモデルは急速に拡大することとなりました。
(中略)
あくまで私見に基づく私の想像でしかありませんが、日本の官僚の「先例主義」、政界における「パチンコ業界」からのロビイング、
海外マシンのローカライズの壁、これまで日本のメーカーに蓄積されてきたノウハウや版権などの知的資産、
1施設6400台のためだけに全くゼロから製品を開発する非効率性、
などから考えると、日本のカジノの機械式ゲーミングが「アニメだらけ*」になることは十分考えられると思います。
(*アニメにはゲームなど日本のサブカルチャー全般を含む)