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「黒い雨」認定の新基準を国が通知 被害者ら反発、長崎も対象外に
広島への原爆投下後に降った「黒い雨」をめぐり、厚生労働省は18日、雨に遭った人に被爆者健康手帳を交付するための新たな審査基準を広島、長崎両市や全国の都道府県に通知した。4月1日から適用する。
新基準は、雨に遭ったことが「否定できない場合」も含め、幅広く被爆者と認めるとした。一方、雨の体験者らが強く削除を求めていたがんや白内障など「11類型の病気になったこと」も要件に残した。白内障については過去の手術歴がある人も認めるとした。
長崎郊外で原爆に遭った「被爆体験者」は新基準の対象外とされた。このため長崎側の同意が得られないまま、国が一方的に通知する形になった。
基準見直しは、「雨に遭った」のみを要件とし、原告84人全員を被爆者と認めた昨年7月の広島高裁判決を国が受け入れたことに伴うもの。当時の菅義偉首相は原告と「同じような事情」にある人を救済する方針を表明していた。
広島市・県には黒い雨の被害を訴える人から計約2千件の被爆者健康手帳交付申請があり、市・県は今後、早期の交付に向けて準備を進める。
ただ、高裁判決が否定した病気の要件を残したことへの批判は根強い。訴訟原告団長の高野正明さん（83）=広島市=は「被爆者の間に新たな分断を生むだけだ」と憤った。「判決を勝手に覆し、押し切ろうとする国の姿勢はあまりにも冷たい」
長崎市・県は、被爆体験者の救済を求めて1月下旬から厚労省と個別協議を続けており、今月18日にも3回目の協議があったばかり。長崎市の担当者は「広島に限定された新基準は受け入れられないのが我々の立場。長崎も盛り込んでもらうよう協議を着実に進めていく」と語った。
長崎市・県を相手に被爆者健康手帳交付を求める被爆体験者訴訟を支援する被爆者の川野浩一さん（82）は、広島の救済が進むことを「よかった」と受け止めつつも、「（国との）協議が2、3年続けば救済できたはずの人が亡くなってしまう。私たちが納得できるよう早くしてほしい」と話す。
妻で訴訟原告の邦子さん（81）は「長崎でも黒い雨が降っており、違う対応になるのはどうかと思う」と話した
