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「死ねばいい」パワハラで札幌トヨタ社員自殺、和解が成立…会社の謝罪条件に

札幌トヨタ自動車室蘭支店の社員石崎 来輝らい さん(当時21歳)が2017年に自殺したのは職場でのパワーハラスメントが原因だとして、父親が同社に約4300万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審は17日、札幌高裁で和解が成立した。

 和解条項には、パワハラで石崎さんが適応障害になり、自殺したことについて、同社が法的責任を認めて謝罪するとともに、従業員へのハラスメント研修を充実させ、再発防止に努めることなどが盛り込まれた。解決金額は非公表。


 1審・札幌地裁判決によると、石崎さんは同店配属後、先輩2人から「死ねばいい」などと言われ、適応障害になったと認定。同社に44万円の支払いを命じた。一方で、暴言と自殺との因果関係は認めず、双方が控訴していた。

 和解後の記者会見で、父親は「会社の今後の対応をしっかり見ていきたい。許せない気持ちは続くと思う」と述べた。札幌トヨタ自動車は「パワハラの認識や対策が不十分だった。遺族に謝罪するとともに、再発防止に取り組む」としている。

 北海道労働局によると、21年4月から今年1月までの相談件数のうち大企業でのパワハラは660件に上り、前年度同期(430件)と比べ、1・5倍以上に増加。企業にパワハラ防止策を義務づける改正労働施策総合推進法が20年に施行され、周知されてきたことが増加の要因の一つとみられるという。同局は「ハラスメントを受けた場合は一人で悩まず、相談してほしい」と呼びかけている。