インターファクス通信によると、ウクライナで1990年代に大量の兵器が国外に密輸された疑惑を調査している同国議会調査委員会は、92年から97年までに320億ドル(約3兆6800億円)相当の兵器が違法に持ち出されたことを明らかにした。
セルゲイ・シンチェンコ委員長が議会に報告したもので、この中には約250発の戦術核弾頭も含まれている。
旧ソ連崩壊後、ウクライナにあった核兵器はすべてロシアに移送されたといわれる。
しかし、ウクライナが引き渡した戦術核の数とロシアが受領した数に250発の差があり、これらの弾頭の行方は不明という。
シンチェンコ委員長によると、旧ソ連崩壊後、ウクライナに残った兵器は合計890億ドル(約10兆2350億円)相当で、約36%が紛失したことになる。
委員長は、主要密輸先として、内戦が続いていたボスニア・ヘルツェゴビナやクロアチアを挙げた。
当時、国家安全保障国防会議書記だったウラジーミル・ゴルブニン氏が密輸の中心人物だった可能性が強く、密輸が最も多かった96年には114の企業も関与していたという。
ウクライナ検察当局は2005年3月、核弾頭搭載も可能な同国製ミサイルがクチマ前政権時代に中国とイランへ不正輸出されていたことを認めており、ユシチェンコ大統領は密輸の実態調査を指示していた。
https://www.yomiuri.co.jp/world/news/20051218it11.htm