https://mainichi.jp/articles/20220322/k00/00m/020/141000c
国土交通省が22日に公表した公示地価によると、福岡県が2年連続で全国首位だった。
「大手企業が相場の3倍で競り落とした。もう太刀打ちできない」。福岡市のマンション開発会社の社長は、市街地の土地を巡る入札の激しさに音をあげる。
コロナ禍で一旦停滞した住宅取引は盛り返している。感染抑止で広い家の需要が高まり、「(広い家は)好立地だと価格が高くてもよく売れる」(不動産鑑定士)。人口増加に伴って地価上昇が続く福岡市では、価格が手ごろな地域で上昇幅が拡大。高止まりしていたエリアでも再上昇が始まった。住宅地に限らず、商業地でもマンション用に高値の取引が相次ぐ。
こうした動きは熊本県や長崎県でも起きており、「福岡で用地を確保できない分、他県で頑張っている」(福岡市の不動産業者)という。同じ県内でも明暗はあり、「人口減少エリアは下落が続くが、駅の近くや人気のベッドタウンの用地は取り合いだ」(熊本の不動産鑑定士)。
2021年11月には、半導体世界大手の台湾積体電路製造(TSMC)が出資する工場が熊本県菊陽町に進出すると発表された。熊本市に近い同町はもともと人気のベッドタウンで、今回の公示地価では住宅地がプラス4・6%だった。
新工場の影響は「公示地価は1月1日時点なので限定的」(不動産鑑定士)との見方もあるが、熊本市の不動産会社は従業員3人を専任にして、新工場周辺の土地に関する情報を収集している。工場新設に合わせて移り住む人は多い見込みで、アパート用地を物色する動きが始まっている。【久野洋】