渡辺真美さん(仮名・30歳)は、過去に住んでいたマンションの大家から受けた、さまざまなセクハラ被害が忘れられないという。
「その物件は山手線沿線で、最寄り駅から10分の場所にあるマンションでした。ワンルームでバストイレ別、専有面積は25平米……同じ条件で物件を探すと家賃の相場は管理費別で7万円以上なのですが、その家は管理共益費込みで6万円と破格だったんです」https://news.yahoo.co.jp/articles/02f296120a8307fcdef41ac227a8a3228e208f7e
築年数は30年以上で外観は古めかしい印象だったが、部屋の中はリフォーム済みのキレイな内装だった。内見の際に彼女は「掘り出し物だ!」と感じてその日のうちに入居を決めたという。
「転居前に住んでいた家は、職場からかなり遠くて通勤が大変だったんです。一方その物件はかなり交通の便がよかった。何より、家賃が相場よりも安かったのが魅力でしたね」
そして引越し当日、引越し業者とともに自室に行くと、彼女が住む予定の部屋の中に70代前後の男性が立っていたという。その男性こそが、これから彼女を悩ませる大家だった。
「部屋に人がいると思わなかったので、とてもびっくりしました。そのときはギョッとしましたが『挨拶に行く手間がはぶけた』と思い、とりあえず菓子折りを渡して雑談をしたんです。でも、話しはじめてすぐに、先方の発言に違和感を覚えたんです。洗濯物について話しているときに『洗濯物は外に干さないほうがいいよ。派手なパンティは盗まれちゃうから』と、いきなり下着の話をされたんですよ」
初対面の男性から「パンティ」という単語が飛び出し、動揺してしまった渡辺さん。そのときは驚きすぎて苦笑いで返してしまったという。
「あとになって大家の発言を思い出して、徐々に不快感が湧き上がってきました。その瞬間に怒ることができればよかったのですが、驚きすぎると何も言い返せないというか、なんと返せばいいのかわからなかったです。ただただ気持ち悪かったのを覚えています」
その後も大家は、なにかにつけて渡辺さんの部屋を訪れた。お菓子をくれることもあれば、彼女の部屋のカーテンに難癖をつけて、自分好みの「クマ柄のカーテン」を持ってくる日もあったという。「とにかく気味が悪くて怖かった」と渡辺さんは振り返る。
「大家の行動はどんどんエスカレートしていきました。ある日、私が出勤しようと部屋を出たときに話しかけてきて、『排水口の掃除をしといたよ。髪の毛いっぱい詰まってたね』と、ニヤニヤしながら言ってきたんです。どうやら、私がいないあいだにマスターキーで部屋に入って、勝手に排水口を掃除したようなんです……」
大家の発言を受けて、渡辺さんは全身が総毛立つのを感じた。そこで思わず「どうして勝手に部屋に入って排水口を掃除したんですか?」と不信感を顕にすると「だって排水口が詰まったら大変でしょ! お礼を言ってほしいくらいだ!」と逆ギレ。激昂したまま、彼は自室に戻っていったという。
「もう、何がなんだかわからなかったです。さすがに自分に対する異常な執着を感じたので、うぬぼれではないと思います。職場の人にその話をしたら『そんなところは早く出たほうがいい。大家といえど不法侵入になるのでは』と言われ、目が覚めました」
退去の決意を固め、口頭でそのことを告げると「あ、そう」と冷淡に返されたという。そんな大家の態度の急変ぶりにも、心当たりがあった、と渡辺さん。
「私が退去を申し出る少し前に、若い女性がもうひとり入居してきたんですよね。もしかしたら彼は、そのときすでに私からその女性にターゲットを変えていたのかもしれません」