ソフトバンクG、非上場のアーム株担保に1兆円調達:日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB258RC0V20C22A3000000/

ソフトバンクグループ(SBG)が国内外の銀行団から、英半導体設計子会社アームの株式を担保に80億ドル規模(約9700億円)の融資を調達することが分かった。インフレ懸念で株式市場が軟調となるなど先行きが不透明となるなか、手元資金を厚くするのが狙い。非上場株を担保にした負債調達では異例の規模で、調達手段を多様化して財務面で守りを固める。

月内にもみずほフィナンシャルグループ、米JPモルガン・チェース、米ゴールドマン・サックス、英バークレイズの4行がとりまとめ役となり、国内外の計10行程度がSBGへ協調融資する。期間は最長で2年程度とみられる。SBGは返済時の対価を現金とアーム株のどちらか選ぶことができる。

一般に非上場株を担保に資金調達をするのは難しい。融資する銀行側が担保価値を見積もりにくいためで、これまでSBGは主に保有する中国・アリババ集団株を担保に資金調達してきた。

今回担保に差し入れるアーム株は2022年度中の上場を計画している。銀行団はアームが上場する可能性が高く、比較的価値を見積もりやすいと判断し、融資を決めたようだ。融資に応じることで、アーム上場を取りしきる主幹事証券会社を引き受けたいとの思惑もあるようだ。

SBGの財務は悪化傾向にある。世界的な成長株安を受けて保有株式の価値が目減りしており、中でも主要資産であるアリババの株価は過去1年間で約半分になった。保有株式に対する純有利子負債の割合を示す「負債カバー率(LTV)」は21年12月末時点で22%となり、平時で25%未満に抑える自社ルールに抵触しつつある。

保有株を担保に資金調達すれば、手元資金が確保できるだけでなく、LTVの圧縮効果も見込める。財務余力を回復させることでさらなる市況の悪化にそなえ、新規投資の機会をとらえたい考えだ。