技能実習制度は「現代版の奴隷」…2年以内の廃止目指す 支援ボランティアがプロジェクト
2022年3月26日 06時00分

 外国人技能実習生の労働問題をボランティアで支援してきたNPO法人「POSSE(ポッセ)」の若者たちが25日、「技能実習制度廃止プロジェクト」を発足させたと発表した。代表の田所真理子ジェイさん(25)は記者会見で「実習生は現代版の奴隷だ」と強調。労働相談を通じて集めた過酷な実態を広く社会に向けて発信することで、2年以内の廃止を目指す。

 技能実習は本来、外国人が日本で技術を学んで母国で役立ててもらう制度だが、実態は劣悪な低賃金労働の温床だとして、米国など国際社会から「外国人搾取」と批判されている。実習生の多くは強制的に帰国させられることにおびえ、低賃金やパワハラといった問題があっても声を上げられない構造的な問題がある。

 プロジェクトを始めるきっかけは2020年。ポッセの若者たちが、強制的に帰国させられたカンボジア人元実習生の支援に携わり、制度の問題点を知ったことだった。実習生からの相談はほかにも、セクハラや理不尽な業務変更など後を絶たず、「制度を廃止しなければならない」(田所さん)と実感したという。

 参加者は高校生から大学院生の約15人で、ネット上で制度廃止の署名を始めた。27日には発足シンポジウムを開き、実習生の実態などを報告する。技能実習生に限らず、職場での人権侵害防止を求める声は世界的に高まっており、田所さんは「企業への働き掛けもしていきたい」と話した。(山田晃史)

https://www.tokyo-np.co.jp/article/167815