映画の歴史において、青の映画、すなわちブルーフィルムという言葉には色彩とは別の意味合いがある。 かつては古いポルノ映画、とりわけ非合法で流通し、好事家の間でこっそりと上映される猥褻な映画のことをブルーフィルム、あるいはブルームービーと呼んだ。 ブルーフィルムの歴史は映画の歴史と同じくらい長いが、文字どおり青い映像を作ったのはポップアートの第一人者アンディ・ウォーホルだった。 ウォーホルは、アート表現の一環としてセックスを扱った実験映画『ブルームービー』(1969年)を発表しているのだが、フィルムの特性を知らないままフィルターなしで撮影したため、フィルム一本まるごと青みがかった画になってしまった。 ウォーホルは意気消沈したが気を取り直して、猥雑と色みのダブルミーニングで「ブルームービー」と名付けたという逸話がある。 とはいえ、今、映画とブルーの組み合わせでポルノを連想する人はほとんどいない。’70年代こそ『青い体験』(’73年)、『青い経験』(’75年)といったイタリア産のお色気映画がヒットしたが、この「青」は日本の映画会社が“青春/性春”のイメージから勝手につけたもので、原題との関連はない。
https://news.yahoo.co.jp/articles/90291866bf64efc772c9c19f017615d928a9bea4