(続き)

 続いて慶応を見ると、経済学部には現役24人、OB20人計44人が合格しているが、進学者はそれぞれ5人と5人で計10人に過ぎなかった。
法学部は計11人中、4人。理工学部は計69人中、14人。東大理科三類に近い難易度の医学部は現役19人、OB2人の計21人が合格したが、
進学者数は現役3人、OBはゼロだった。慶応全体の合格者数は173人で進学者数は36人、進学率は20.8%だった。
開成高生はすべり止めとして早慶を受験しながらも大多数が合格を手にしても蹴ってしまうという現状が浮かび上がる。
法政、青山学院、日大、駒沢、明治学院の合格者もごくわずかながらいたが、いずれも進学者はゼロだった。

 逆に合格した大学を蹴ることなくそのまま進学した生徒数を見ると、北大医学部1人、東北大医学部2人、秋田大医学部2人、筑波大医学部1人、
群馬大医学部1人、千葉大医学部10人、新潟大医学部1人、金沢大医学部1人、山梨大医学部3人、浜松医科大2人、名古屋大医学部1人、
京都大医学部2人、大阪大医学部1人、神戸大医学部1人、横浜市大医学部1人などとなっており、
国公立大学の医学部の場合は「合格=入学」という傾向があるようだ。

 それにしてもすさまじい開成高生の早慶蹴り。大手予備校講師がこう話す。「早慶合格者の大部分がごっそり抜けて東大に進学したのでしょう。
昨年の東大合格者数は146人ですから全員が早慶を2〜3学部ずつ受験して合格したとしたら数は合います。
彼らの学力からすればとくに驚くことではありませんが、早慶を第1志望としている受験生からすればあ然とする事態でしょうね。
開成に限らず東大合格者数ランキングの常連となっている超難関中高一貫校でも同じ状況です。
ただし、地方の旧帝大の合格者の中には早慶を選ぶ受験生が目立ちます。
阪大や神戸大でも早慶はすべり止めにするには難し過ぎて関西学院や同志社を受験すると言われていますし、
東京医科歯科大を蹴って慶応医学部に進んだ生徒もいます。東大は別格としても早慶が超難関であることに変わりはありません」。

 ある開成高OBは「学校の先生から『東大を狙いなさい』と言われたことは1度もありませんし、何が何でも東大という空気でもありません。
実力テストの上位100人に入れば東大合格圏と言われますが、私はそのずっと下位でも現役合格できました。
ふだんから同級生と英単語を覚えるゲームをするなど楽しみながら勉強を競い合う日々を送ったことが良かったのだと思います」と明かす。

 東大と早慶の差はまだまだ大きいということのようだ。