ロシア脅威が再浮上 中国、北朝鮮との3正面の備え
https://www.sankei.com/article/20220326-ASCE4Z4KRRPMNDAXLJPT46JBRA/
ロシアがウクライナ侵攻に踏み切ったことで日本にとって中国、北朝鮮だけではなくロシア軍の動向も主要な脅威として再浮上してきた。これまで自衛隊は軍事的圧力を強める中国を念頭に南西方面に防衛態勢をシフトしてきたが、北方も注意が必要な状況だ。防衛省幹部は「中国が『主敵』なのは変わらない」とするものの、政府が年末までに行う国家安全保障戦略(NSS)の改定作業などにも影響を及ぼしそうだ。

「ロシアの怖さを改めて意識した。自衛隊は中国、北朝鮮と合わせ、3つの正面に備えなければならない」

ロシア軍がウクライナに攻撃を開始した2月下旬、防衛省幹部は頭を抱えた。さらに今月24日にロシアの海軍艦艇が対馬海峡を南下するなど、日本周辺でも活動を活発化させている。

自衛隊は冷戦時代、旧ソ連と対峙(たいじ)する最前線として国境を接する北海道を重視し、人員・装備を重点配備してきた。現在も北海道に2師団と2旅団の計約3万人を擁する陸上自衛隊北部方面隊が配備されているのは、その名残でもある。

ただ、政府内でロシアを現実的な脅威とする認識は低下していた。冷戦後は核・ミサイル開発を進める北朝鮮と合わせ、尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺で領海侵入を繰り返す中国が現実的脅威とされてきた。

このため、防衛省はミサイル防衛網を整備・強化するとともに、平成28年の与那国島への部隊配備以降、空白地帯だった南西諸島へ防衛の「重心」をシフトしていた。