「ろう者役には、ろう者の俳優を」はなぜ日本で定着しないのか。『コーダ』が映画界に残した功績
若田悠希 / Yuki Wakata

権利保障が、映画作りにも影響

『コーダ』の他にも、近年はヒット映画『クワイエット・プレイス』や『エターナルズ』などにも
ろう者の俳優が出演する。大規模な作品でろう者が活躍できるようになった背景を、牧原さんはこう分析する。

「今のハリウッドでは、当事者が演じるのが当たり前だという風潮ができつつあります。
聴者の俳優にろう者を演じさせようとする動きに抵抗してきた、監督や当事者の努力が積み重なった結果では。
監督やプロデューサーなど映画作りの要の人たちがろう者と繋がり、当事者が演じることの重要性を理解しているのは大きい。
今後の映画作りにも良い影響を与えるはずです」

アメリカの映画・ドラマ界では、人種やジェンダー/セクシュアリティ、障害者などのマイノリティの役には、
当事者の俳優を起用しようとする動きが広がっている。

その背景には、非当事者が演じることで、作品を通して、当事者をめぐり誤った認識や
偏見を植え付けてしまう恐れや、当事者の雇用の機会が奪われるなどの問題がある。
https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_6231cf59e4b0fe0944de394e