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跳ね馬が導く、新世代スーパーカーの最適解! 「フェラーリ 296 GTB」
跳ね馬のエンブレムを掲げたロードカーとしては初の6気筒エンジン+モーターを搭載した新世代モデル、フェラーリ 296 GTBが登場。モデル名の296は2992ccの6気筒を意味し、GTBはグランツーリスモ“GT”+イタリア語でスポーツクーペの意味を持つベルリネッタ“B”を組み合わせたもの
跳ね馬のゲームチェンジャー
リッターあたりの出力は221hpと、フェラーリ市販車の出力記録を塗り替えた。0→100km/h加速2.9秒、最高速は330km/h以上に到達する。
昨年発表されたフェラーリの新たな主力モデル、フェラーリ 296 GTBをようやく試すことができた。国際ローンチ試乗会が行われた場所は、なんとスペインはセビーリャ。高級ブランドの試乗会ロケーションとしてよく使われる町ではあるけれど、相手がフェラーリとなると話がまた違ってくる。なぜなら、かの世界一有名なスポーツカーブランドがイタリア国外でデビュー試乗会を開催することなど未だかつてなかったことだからだ。この新型モデルに対するマラネッロの気合いの入りようがわかるとともに、彼ら自身のビジネス戦略や組織にも何かしらか変化の兆しが見受けられるということか…。
それはともかく、試乗インプレッションを報告する前にフェラーリ 296 GTBについて簡単にその誕生の背景や概要を振り返っておこう。マラネッロの伝統に則ってその車名を読み解けば、2.9Lの6気筒エンジンを搭載するグラントゥーリズモ・ベルリネッタとなる。
ここで注目すべきはミッドシップモデルに6気筒エンジンを積んだことだ。これまでフェラーリの主力モデルといえば8気筒エンジン搭載で、フラッグシップとして伝統の12気筒モデルを据えていた。内燃機関への規制がこうも厳しくなってくると、マラネッロも流石に善後策をとる必要に迫られる。そこで次世代ラインナップでは、気筒数を減らしたうえでプラグインハイブリッドシステムを組み合わせ、従来シリーズを上回るパフォーマンスを得ようと考えたのだった。マラネッロの電動化で、近い将来、フル電動モデルの登場も予定されている。
フェラーリ 296 GTBは、新開発のV6エンジンにひとつの電気モーターを加え、比較的大容量のバッテリーを積んだ、電動走行も可能なプラグインハイブリッドのミッドシップ2シーターカーである。プラグインハイブリッドモデルとしてはV8+3モーターのフェラーリ SF90シリーズに次ぐ第2弾。事実上、V8ミッドシップモデルの後継となるからフェラーリ 296 GTBはロードカービジネスの大黒柱になる、というわけだった。
国際試乗会の起点となったのはセビーリャ郊外のサーキット“モンテブランコ”。まずはサーキット走行を意識したオプションパッケージモデル、フェラーリ 296 GTBアセット・フィオラーノでモンテブランコを走ることに。
パフォーマンススペックそのものはフェラーリ F8トリブートを大いに上回っている。重いバッテリーを積んだことによるダイナミック性能への影響があるのかどうか。まずはそれを知りたかった。
6気筒になっても濃ゆい、官能サウンド
後輪駆動にプラグインハイブリッド(PHEV)を組みこむのは、フェラーリの市販車として初の試み。フルEVモードで約25kmを走行、その最高速度は135km/hに達する。
結論から言うと、マラネッロは良い仕事をした。3モーターというより複雑なシステムを先にものにしたフェラーリ SF90での経験が役に立ったのだろう。システム制御の洗練度という点でフェラーリ SF90を上回っている(もちろん1モーターというシンプルなシステム構造でもあるからだが…)。速度やギアに応じてV6ツインターボエンジンの出力を電気モーターが補正して、まるで大排気量の自然吸気エンジンのように、どのギア・どの回転数からでも、目を見張る加速をみせるのだ。そのうえ、サウンドも官能的。決して爆音系ではなく、いつまでも聞いていたいエグゾーストノートである。
何よりクルマとの一体感が強く、車体重心を腰下で常に感じながらの走行は、ひとまわり小さなモデルをドライブしているかのようだった。実際、前後軸間距離(ホイールベース)はミッドシップフェラーリのF8系に比べて50ミリ短くなっているのだが、その数値以上に小さくなった印象だ。F8系にはまだしもダブっとしたスーツを着ている印象があったが、フェラーリ 296 GTBではピタッとフィットしている。