黒川紀章の代表作、銀座「カプセルビル」を来月解体…一部は美術館へ

建築家・黒川紀章(1934〜2007年)の代表作で、ブロックを積んだようなユニークな外観で世界的に知られる、東京都中央区の「中銀カプセルタワービル」の解体が正式に決まり、4月12日から工事が始まることが分かった。黒川らが提唱した日本発の建築運動「メタボリズム」を象徴する名建築が姿を消す。

 同ビルは1972年完成の分譲マンションで、計140個の住居用カプセルを取り外し交換できる設計。奇抜な外観と宇宙船内を思わせる内装で人気を集め、数多くの映画やドラマ、ミュージックビデオ、雑誌グラビアなどで使われた。コロナ禍以前は、多くの外国人観光客も訪れていた。

 ただ、カプセルが交換されたことは一度もなく老朽化が進み、2000年代から所有者の間で解体・建て替えを求める議論が活発化していた。一部の所有者が保存を前提に同ビル全体の購入者を探したが見つからず、昨年3月に解体・建て替えを計画する不動産業者への売却が決まった。今月10日までに住人の退去が完了している。

 この不動産業者は、黒川紀章建築都市設計事務所や、元所有者で作る「中銀カプセルタワービル保存・再生プロジェクト」(前田達之代表)と協力し、カプセルの一部を美術館に寄贈したり、宿泊施設として再利用したりする予定だ。国内外の美術館や企業、個人から計約80件の問い合わせがあり、前田代表は「最初の寄贈先として、世界屈指の美術館と協議している」と話している。
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