「ロスティスラフが十字架を頭上に掲げ、隠れ場所から立ち上がり、何かを叫びながら戦車に向かって歩いて行くのを見た。
ロシア軍を制止したかったのかもしれない。私はロスティスラフに声をかけようとした」

すると、司祭の方向へ発砲があった。ユヒムさんの位置からは、直接ドゥダレンコさんに向かって撃ったように見えたと言う。
「それでおしまいだった。彼は2、3歩歩いただけで倒れた」。

ユヒムさんもこの攻撃で撃たれてけがを負った。その時点でウクライナ軍が到着してロシア軍を後退させなければ、
その場のにいた全員が殺されていただろうと、ユヒムさんは思っている。

ドゥダレンコさんが所属していた有志グループは、軍とは無関係だった。同じグループのエドゥアルドさん(仮名)によると、
軍事訓練を受けていたのは数人で、東部ドンバスでロシアと長年続く紛争で戦闘を経験した人たちだという。
グループには、アマチュアの猟師もいた。参加者のほとんどは50歳以上だという。

エドゥアルドさんは当時、別の検問所を担当していた。エドゥアルドさんが到着した時にはロシア軍戦車は撤退した後で、道路には遺体が散らばっていた。
その中にはドゥダレンコさんや、やはり丸腰だった輔祭、別の防衛志願者2人、そして見知らぬ人物が1人含まれていた。

ドゥダレンコさんの母ナディイアさんは、一人息子は自分の役割を果たそうとしていたと語った。

「息子はみんなを守れるようになりたいと思っていた」と、ナディイアさんはBBCに話した。

「説得してやめさせようとしたけれど、反論できなかった」
https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-60870312#:~:text=%E3%82%A6%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%8A

(左から)司祭のロスティスラフ・ドゥダレンコさん、パウロ・ナイデノフさん、セルヒイ・ツォマさん
https://ichef.bbci.co.uk/news/800/cpsprodpb/976E/production/_123866783_976xsqpriest_trio.jpg