国立劇場で墜落災害 舞台の資材運ぶ足場に手すり設けず送検 中央労基署
東京・中央労働基準監督署は、墜落防止措置を怠ったとして映画・演劇業の独立行政法人日本芸術文化振興会(東京都千代田区)と同社副部長を労働安全衛生法第21条(事業者の講ずべき措置等)違反の疑いで東京地検に書類送検した。入社1年目の女性職員が高さ2.85メートルの足場から墜落し、重度の障害が残るケガを負っている。
災害は令和2年12月29日、同社が運営する国立劇場内で発生した。被災者は、舞台で使用する資材の片付け作業を行うため、移動式足場の上に乗っていた。他の労働者とともに、足場の上で台車に乗せた板10枚を資材置場に収納しようとしたところ、墜落した。コンクリートの床面に頭を打って重傷を負い、現在も休業が続いている。
労働安全衛生規則第519条では、高さが2メートル以上の作業床の端など墜落の恐れがある箇所には、手すりを設けなければならないとしている。同法人はこれを怠った疑い。
移動式足場は側面の2カ所のみ手すりが設けられており、前後の手すりは取り外されていた。車体はキャスターによって移動可能で、当日は労働者数人を足場上に乗せたまま、別の労働者複数人で車体を押して移動させていた。同労基署は、「資材を出し入れやすくするため、常に手すりを外していたようだ」と話している。
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