https://news.yahoo.co.jp/articles/9b105c18457cd06fe4b349c9a4a7ede372febac9

■「極めて異例」

ワクチン接種会場となったのは、大阪市住之江区にある複合施設「オスカードリーム」の2階で、接種を行ったのは同区にある「ただクリニック」である
このクリニックの診療科目は「内科・胃腸科・整形外科・肛門科」であり、コロナなどの感染症は専門外。
診察室も2部屋のみで、一般的な個人経営クリニックの規模だ。

東議員のツイッターにアップされた接種会場の動画をさる医師に見てもらうと、

「うわあ……。これはすごい人数ですよ。これがクリニック主催なんですか? 
自衛隊の大規模接種会場と言われても疑わないでしょうね。
まず、1軒のクリニックだけで主催できる規模ではありません」

政府関係者が言う。

「大阪市内には、これ以外にクリニックが独自に大型接種会場を設置した例はありません。
東京都内においても、クリニックが大型接種会場を開設した事例はなく、『ただクリニック』の件は極めて異例です」

何より疑問なのは、規模が決して大きくない「ただクリニック」が、なぜ大型接種会場を開設するほどの大量のワクチンの供給を受けられたのか、という点だ。

■約2万回分の供給

掲載の表をご覧いただきたい。これは大阪市の基本型接種施設となった医療機関に対する、昨年5月24日から10月4日の週のワクチン供給量を示す表である。
「ただクリニック」が同期間に1万9890回分(17箱)の供給を受けているのに対し、他クリニックは多い所でも9360回分(8箱)となっている。

「ワクチン接種を行う医療機関は基本型接種施設とサテライト型接種施設に大別されます。
『基本型』は大量のワクチン供給を受ける代わりに、近隣のクリニックなどの『サテライト型』に分配することが前提の施設です」
と、先の地方自治体職員。

「全国のほとんどの自治体では、『基本型』には大きな病院が指定されています。しかしなぜか大阪市ではクリニックが指定されています。
大阪市では市のワクチン配送センターが『サテライト型』への分配機能を担っているようですが、そうなると、わざわざ『基本型』を設ける意味が分かりません。
ワクチンの分配をしない『基本型』がなぜ必要なのでしょうかね……」

この点、大阪市保健所感染症対策課の担当者は、
「ワクチン接種が始まった昨年4月、『基本型』にするか『サテライト型』にするかのアンケートが全病院に配られています」
と説明するが、それがどこまで周知されていたかは甚だ疑問で、市内のさる病院の院長はこう述べるのだ。

「『基本型』に手を挙げられること自体、知りませんでした。それを知っていれば手を挙げていましたよ」