分析対象となったデータは、Rush Memory and Aging Projectに参加した平均年齢81歳の高齢者1401人に、14年間にわたり腕時計型デバイスを装着してもらって記録した活動パターンが含まれています。参加者のうち約75%は調査開始時には認知障害を持っておらず、残りの20%は認知症の予備軍である軽度認知障害で、4%はアルツハイマー病でした。
参加者が長時間動かなかった日中の時間を昼寝と定義して、その時間の長さと認知機能の関係を分析した結果、
調査期間が終了するまでに認知障害になった人とそうでない人の間には、明らかな昼寝習慣の違いがあることが分かりました。
具体的には、認知障害にならなかった参加者の昼寝時間は平均して「11分」だったのに対し、軽度認知障害と診断された人は2倍以上の「25分」、
アルツハイマー病の人はさらにその3倍の「68分」だったとのとのこと。
総合的に見て、毎日最低1回1時間以上昼寝をする高齢者は、
毎日昼寝をしない人や昼寝しても1時間未満の人に比べて、アルツハイマー病になる確率が40%高いという結果になりました。
これは、昼寝以外の生活習慣や持病、飲んでいる薬などの要因を調整した後も変わりませんでした。
研究チームは、分析に使用した調査データは高齢者を対象としたものなので、若い人など高齢者ではない人には当てはまらない可能性に注意が必要としています。
また、今回の実験結果からはあくまでも昼寝の時間と認知機能障害の関係が示されただけで、「昼寝のしすぎが認知機能低下の原因である」といった因果関係が明らかになったわけではありませんが、
研究チームは「昼寝の時間が長くなることは認知機能低下の前兆となる可能性」を示唆しています。
その上でレン氏は、
「ほぼ全ての参加者の睡眠時間が延びていたので、昼寝の時間が長くなること自体は正常な老化の一側面ですが、
それには限度があるということが今回の研究により示されました」と結論づけました。
「ちょっと昼寝するつもりが1時間たってた」という人はアルツハイマー病が始まっている可能性があるとの研究結果
https://gigazine.net/news/20220329-longer-naps-sign-dementia/