“ジョーク”と患者の生きづらさ
脱毛症外来で多数の毛髪疾患を抱える患者さんを診てきた伊藤さんは「脱毛疾患は社会の中で生きづらさを感じやすいもの」と指摘します。

「抜け毛は隠しづらく、また一般の方にとって不規則に脱毛している姿は“非日常”です。そのため、脱毛患者さんに目が行ってしまうことが起こりますが、これは患者さんにとって非常に辛いものです。ウイッグは非常に有用な手段ですが、ウイッグを使用したことによる日常生活の制限も大きくのしかかります」

そして、伊藤さんは、テレビやラジオなどでの頭髪にまつわる“ジョーク”が、脱毛症患者さんを苦しめるところを、実際に見てきたと訴えます。

「たとえそれが当事者による“自虐”であっても、こうした“ジョーク”は脱毛症状にマイナスなイメージを強く一般に与えています。脱毛症状を経験した方がよく言うことに『抜け毛がこんなに苦しいものとは思わなかった』『なって初めてこのような辛さ、悲しさを感じた』というものがあります。脱毛外来は、患者さんが涙することの多い外来であると感じます」
https://news.yahoo.co.jp/articles/f82dd45fbf21acb63dc3371e292cb7afef7271f8?page=3