ウェブトゥーンを制作する事業者が危惧の念を抱いているのは、ピッコマが提示している還元料率だ。複数人の業界関係者によると、ピッコマはここ数カ月、独占配信の場合は28%、非独占配信の場合は25%という料率を提示している。関係者らによると、例えば競合サービス「LINEマンガ」の料率は、独占配信の場合だと35%〜40%程度。他のサービスも同様の水準だという。ピッコマの料率について、ある関係者は「業界水準と比較して、ありえない低さだ」と憤る。

一般的に、ウェブトゥーン作品を制作するには、20話程度でも1000万円以上のコストがかかるとされている。同関係者は「制作側は28%、25%の中から、作家などの権利者へ還元する必要がある。この料率では制作にかかる初期費用までを回収できず、トータルでは赤字になってしまう。制作側にとっては極めて厳しい条件だ」と説明する。

しかも、2021年時点ではピッコマは事業者らに競合サービスと同等の独占配信の料率を提示していたという。仮に料率が40%から28%に下がったのであれば、得られる金額は実に3割減となる計算だ。想定外の低料率を突きつけられた事業者らは、事業方針を見直すなど、苦渋の選択を強いられている。

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