京都府なのに「茨木台ニュータウン」 増える空き家に住めないわけ

京都府亀岡市には、マイカーがなければ市指定のごみ袋を買えない地区がある。

 東別院町鎌倉見立(けんだち)地区。大阪府との府境に位置する山間部の過疎地だ。

 地区から20分ほど歩くと隣の大阪府茨木市にバス停がある。向かう先は茨木市内。亀岡市の市街地へ向かう公共交通はない。

 地元女性(75)は普段、指定ごみ袋をマイカーを持つ友人に買ってきてもらう。助け合いの精神と言えば聞こえはいいが、奇妙な状況。でも、女性はあきらめ顔でこう言った。

 「仕方ない。ここは空き家ばかりだから」

 30年ほど住む山室裕嗣(ゆうじ)さん(82)によると、鎌倉見立地区は昭和の終盤に開発された大阪のベッドタウン。亀岡にあるが、茨木台ニュータウンと呼ばれる。「土地が安いのも魅力でね」。山室さんも大阪から移り住んだ。

 バスは昔から大阪方面にしか行かないが、かつては住民のほとんどがマイカー派。問題はなかった。

 だが、住民らは年老いて運転が難しくなり、いまやマイカーを持たない人も。多くの住民が便利な都市部へ移住し、20年ほど前から空き家が目立ち始めた。
https://www.asahi.com/sp/articles/ASQ3V6WB5Q3LPLZB01J.html