富士山噴火 徒歩で避難 到達3時間内の富士宮など5市町、原則車を転換 火山広域避難計画中間報告

 静岡、山梨、神奈川の3県などでつくる富士山火山防災対策協議会は30日、改定富士山ハザードマップを踏まえた新たな富士山火山広域避難計画の中間報告書をまとめた。溶岩流が3時間以内に到達する範囲の一般住民は噴火後に、徒歩で避難することを原則とする基本方針を示した。車での避難を原則としていたこれまでの計画から方針を大きく転換した。各自治体は新たな基本方針を踏まえて、個別避難計画を改定する。

 新計画では溶岩流が3時間以内に到達する範囲を「第3次避難対象エリア」として新設した。このエリアでは、噴火開始後に一般住民は徒歩で、溶岩流が及ばない安全な場所への避難を始める。静岡県では御殿場、裾野、富士宮、富士、小山の5市町の一部が対象となる。

 一方、想定火口範囲と、火砕流や大きな噴石などの影響が及ぶ範囲、溶岩流が3時間以内に到達する範囲にいる高齢者や福祉施設入所者などの要支援者は従来通り、噴火前に車で避難する方針を維持した。

 溶岩流に対する避難対象エリアと避難方法を見直したのは、改定ハザードマップで想定火口範囲が拡大し噴火の影響が市街地方面に大きく広がったため。計画改定を進める検討委員会の推計では従来通りに退避した場合、ハザードマップ改定前の約7倍に当たる約11万6千人が車で一斉に避難することになり、市街地は深刻な渋滞が想定される。

 委員会が車と徒歩での避難を比較した試算によると、例えば富士宮市の市街地の一部は車で避難した場合、徒歩よりも2倍以上の時間がかかるとの結果が出た。一方で市町によって避難対象者が少ない地域は、車での避難の方が早いケースもある。このため中間報告は、渋滞が発生しない対策などが取られれば車での避難も可能とし、徒歩と車を組み合わせるなど地域特性に合った効果的な避難計画の策定を市町に委ねた。

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https://www.at-s.com/sp/news/article/shizuoka/1047014.html
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徒歩原則に地元戸惑い 住民「噴火後で間に合うか」 富士山火山広域避難計画・中間報告
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