前回のあらすじ
3年間で実に1700時間、Qアノン現象を撮り続けた映画監督カレン・ホバックは「Qの正体に最も近づいた人物」の1人です。
彼は疑惑の人物とのやり取りの中で、ある確信を抱きます。「Qの背後にいるのは…」

 陰謀論集団「Qアノン」は、多くのジャーナリストや研究者が注目する。

 なぜ、彼らは支離滅裂な主張を信じるのか。どのようにこれほどの規模になったのか。
そして、「Q」とはだれか――。調べるべき対象は尽きない。

「Qアノンの人たちは、真剣なんだ」
 ワシントンを拠点とする政治記者、ウィル・ソマーは、米ウェブメディア「デイリービースト」で
Qアノン関連の記事を書き続けてきた。2018年6月以降、確認できただけで100件ほどになる。

 ソマーは16年から、米国の右翼運動や陰謀論を精力的に取材してきた。
後に有名となる極右団体「プラウドボーイズ」を最初に取材した記者の一人でもある。

【Qアノンとは】「世界は影の政府が支配」を信じるQアノン ネットで拡散した陰謀論

Qが匿名掲示板「4chan(ちゃん)」に現れたのは、17年10月のことだ。
ソマーはその年末にはすでに、Qアノンが盛り上がりつつあることに気がついていたという。

 「最初はネット上のたわごとにすぎないと思っていた。実際、
4ちゃん内でも『あほくさい』とか『ばかだ』と扱われていた。ただ、どんどんと形ができていった」

 18年4月には、ワシントンで行われたQアノン関連のデモを取材。参加者は数百人だった。
まだ、多くの記者がその存在に注意を払っていない段階だ。当時については、ツイッターにこう書き残している。

 「多くの人が聞いてくるが…

以下有料記事
https://www.asahi.com/articles/ASQ3P6QN8Q3BUHBI00F.html