ウクライナのトランスジェンダー女性が抱える苦悩「私は誰も殺したくない」
https://rollingstonejapan.com/articles/detail/37429/
FaámeluはInstagramで1万6500人のフォロワーを抱え、ウクライナでは有名人だ。
2008年にはウクライナのリアリティ歌番組『Star Factory』に出演し、2010年には『Star Factory Finale』にも出演した。
トランスジェンダーであることを公表した後、2018年にはウクライナ版『The Voice』に出演。
この番組をきっかけに力強い声と個性でファン層を確立し、以来ずっとウクライナの表舞台で活躍してきた。
だがそうした知名度ゆえに、ウクライナを出国するのが余計に難しかったと彼女は考えている。すぐに顔バレしてしまうからだ。
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車を停められたFaámeluと運転手は、国境警察にパスポートと3000ユーロを渡し、賄賂で出国させてもらおうとした。
Faámeluいわく、決して珍しい話ではないと言う。
警察は賄賂を受け取らなかった。この時Faámeluは、他の男性と戦闘訓練を受けることになる憲兵事務所に無理やり連行されたそうだ。
その夜、事務所は彼女を解放して身の回りの物を取ってくるように言い、明日の朝までに戻るよう命じた。
車に戻る道すがら、運転手がFaámeluに向きなおってこう言ったのをFaámeluは今も覚えている。
「泳げるかい? それが唯一の選択肢だ。ドナウ川を泳いでシゲトゥとの国境に不法入国するしかない。そうすれば君は難民になる。ただし、法を犯すことになる」
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現在Faámeluは3月10日からドイツで安全に生活している。
母国では犯罪者となったものの、他のトランスジェンダー女性にウクライナ出国を促すためにも、自分の経験を語るべきだと感じている。
「ウクライナでは、トランス女性の存在はほとんど知られていません」と彼女は言う。
「彼女たちは今危険にさらされています。彼女たちも国境を越えられるよう、私の話が世に出ることをみんなが待ち望んでいます」
松岡宗嗣
@ssimtok
ウクライナのトランス女性Zi Faámeluさん。
検問所で国境警備隊に「無事に突破できると思うのか? 引き返せ」「お前のような人間は好ましくない」と言われた。
別の検問所で戦闘訓練を受ける憲兵事務所に連行、その後兵士に追われながら川を泳いでルーマニアに逃げたと。
Faámeluさんは以下CBS NEWSの取材にもこたえている。現在はドイツで安全に生活できていると知り安心。
同じように逃げたくても逃げられないような状況の人がいるのだろう。厳しい。