急激に円安が進んだ原因は、日銀が「指し値オペ」を実施したことだ。円相場は朝方、122円台前半で推移していたが、日銀が、10年国債を利回り0.25%で無制限に買い入れる「指し値オペ」を決めると一気に124円台まで下がった。
さらに日銀が29日から3日間「連続指し値オペ」を実施するのは、長期金利を0.25%に抑えることに執着したためだ。0.25%は日銀が自ら“上限”として設定している水準である。米国はインフレを抑えるために金利を引き上げているが、日銀は0.25%という低金利を死守するつもりらしい。
しかし、日米の金利差が拡大すれば、当然、円安も進んでいく。黒田日銀は、円安が加速することを分かりながら、低金利を優先した格好だ。
経済評論家の斎藤満氏がこう言う。
「岸田政権と黒田日銀の間に亀裂が生じているということです。夏の参院選を控えた岸田政権は、絶対にインフレを抑えたい。そのためには、円安をストップさせる必要があります。輸入物価が高騰しますからね。なのに日銀の黒田総裁は、インフレを招くと承知しながら円安を容認している。いまだに『円安は経済にプラス』と公言しています。恐らく黒田総裁は、いまさら“低金利”と“円安”というアベノミクスをやめるわけにはいかないのでしょう。アベノミクスの失敗を認めることになりますからね」https://news.yahoo.co.jp/articles/187fa6bc4793b7df2946b3656acf6d0709b9b5c1