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元受刑者が感涙…!西成の居酒屋が出す「刑務所メシ」の再現度

「元受刑者の人が一口食べて、『この味や!』と感動しとった。刑務所時代のことが”良い思い出”という人はあまりおらんやろうけど、懐かしいという気持ちにはなるんやろうね」

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強面とはギャップのある人懐っこい笑顔でそう語るのは、大前孝志さん(46)。大阪市西成区の海鮮居酒屋『淡路屋丸』の店主だ。

『淡路屋丸』では、大前さんの出身地である和歌山から毎日魚介類を仕入れているだけでなく、大きな生け簀に和歌山から海水も取り寄せている。昨年12月4日にオープンしたばかりだが、新鮮な魚を安価で食べられるとあって、早くも人気店となっている。

だが、『淡路屋丸』の売りは魚介だけではない。大前さんがたまに振る舞う、ある「裏メニュー」が、密かに話題を呼んでいるのだ。

「神戸刑務所の食事を再現して、提供しています。出しているのは、受刑者から絶大な人気を誇ったツートップメニュー。『ウインナーじゃが』と『筑前煮』です」(大前さん)

大前さんは元ヤクザで、27歳から約5年間神戸刑務所に服役していた。当時の記憶を頼りに、「刑務所メシ」を再現させたというわけだ。

「もともとは、’17年頃にあいりん地区に出したうどん屋『淡路屋』で『刑務所メシ』を出していた。それで評判が良かったから、『淡路屋丸』でも出すようになったんです」(同前)

『淡路屋丸』ではこれまでに2度、「刑務所メシ」を振る舞っている。最近では3月26〜27日に提供したが、元受刑者のなかには懐かしさのあまり涙を流す人もいたという。『淡路屋丸』で働く大阪刑務所で服役経験のあるスタッフは、こう驚きを口にしていた。

「大刑(大阪刑務所)の食事は、犬の餌と言われるほど不味いことで有名。プリズンカレーやビーフシチューが人気やったけど、味が薄くて。たまにレトルトの肉団子なんかが出ると、みんな皿のタレまでねぶった。それに比べて、神戸(刑務所)ではこんな美味いモンが出るんやと知って、羨ましいと思いましたわ」

神戸刑務所の食事を再現するにあたって、食材には徹底的にこだわった。大前さんがこだわりを語る。

「刑務所やからええ材料は使ってへん。『ウインナーじゃが』のウインナーは、スーパーで売られているモノでは上質すぎた。シャウエッセンなんてありえへんからね。そこで色んなウインナーを試した。赤ウインナーでもまだ素材が勝つから、フランクフルトに行き着いた。これが一番近かった。『ウインナーじゃが』は言ってみれば、肉じゃがの肉をウインナーに換えたもの。独特の甘めの味付けに、じゃがいも、糸コン、玉ねぎ、そしてフランクフルトを入れた」

記者も食べてみたが、肉じゃがを甘くしたような味付けに、柔らかなウインナーが意外なほどマッチしていた。刑務所は味の濃い料理が少ないと言われているだけに、人気なのも頷ける。

一方の『筑前煮』は、うどん屋を経営しているだけあり出汁にこだわった。

「『筑前煮』はうちの特製の出汁から作ったもの。醤油もオリジナルのモノをブレンドして使い、胡麻油も入れた。材料は鶏肉と人参、筍、ごぼう、蓮根。刑務所の『筑前煮』は少しピリ辛にするために、隠し味が入っとった。うちでは入れていないけど、おそらく少量のカレーパウダーで辛さを引き立てていると最近思い始めた」

ただ、『筑前煮』については完全再現というわけにはいかなかったようだ。

「味付けはほぼ同じやけど、うちで出している『筑前煮』のほうが、間違いなく美味しい(笑)。肉はジューシーなモモ肉使っているけど、ホンマは胸肉やと思う。それに、刑務所は大人数の分を丸いスチーム鍋で圧力かけて一気に炊くから、肉がパサパサなる。だから根菜も硬め。でも、それは再現できへんからね」

約半年前に『西成キンちゃんのワッショイTV』を開設し、ユーチュバーとしても活動している大前さん。最近は、YouTubeの視聴者も店に来てくれることが多くなったという。

「わざわざ名古屋や沖縄から会いに来てくれる人もいる。人生相談もよくされるんやけど、懲役を終えた人から身の振り方について相談されることが多いね。どうやってこれから生きていけばいいのか、と。たまにやけど、恋愛相談されることもあるからビックリやで