濱口竜介監督「米国はケタ違い…目線はアジアに」西島秀俊「僕が行けた…若い日本俳優も可能性」

濱口監督は「アカデミー賞という舞台で感じたことは両面、ある。3週間、滞在して、いろいろな方にお会いした。本当にケタ外れな世界…自分の持っている尺度が通じないというか、予算規模が全く違う世界で仕事している。共通言語を持っているのだろうか? という」と切り出した。
その上で「予算のことを言うと、申し訳ないけれど…『えっ、そんな予算で映画、作れるの?』という感覚で向こうは話してくる。
そう言われてしまうと、頑張って作っていますと言うしかない。全くスケールが違うのが1つ。段階的にでも自分のスケール感を調整しなければいけない」とステップアップの必要性を語った。

一方で「監督の方々と話していると、スピルバーグ監督もポール・トーマス・アンダーソン監督もそうですけど、パーソナルなものに根差して作っている。個人的に映画から受けた喜び、人生で味わった傷を、どう作品に昇華するかを自分自身から考えている印象がある。
その点は変わらない」と語った。そして「後輩たちに一体、どういう指針になるか分からないけれど、日本でやるってことを考えると、自分たちの個人的な。
パーソナルな思いから出発するところは全く間違っていないし、作り続け、届け続けるおそらく…むしろ唯一の方法なのではないか?」と訴えた。その上で「どの程度の予算を加えるかは今後の業界の推移とも関わる」と付け加えた。

濱口監督は、米国で日本映画への期待、関心はあると肌で感じたか? と聞かれると「これは、はっきりと言わなくてはいけないと思いますけれども、現代の日本映画に対する関心は基本的にないと思います」と即答。
「素晴らしい日本映画はあったね、と語られることは、とてもたくさんありますけども、現代の日本映画が米国で知られているかというと、是枝さん(裕和監督)は別ですけれども注目されているとは言えない状況なんだなと実感しました」と語った。

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