タレントの中山秀征(54)と白城あやか(54)の長男で、俳優の中山翔貴(23)が、8日スタートのテレビ東京系ドラマ「しろめし修行僧」(毎週金曜・深夜0時12分)で芸能界デビューを飾る。このほどスポーツ報知などの取材に応じ、坊主姿でスタートさせる俳優業への覚悟を語った。(田中 雄己)

【写真】笑った表情が父にそっくりの中山翔貴

 少し伸びた坊主頭をさすりながら、翔貴は「最初はスッキリしたんですけど、今は伸ばしたいですね」と笑った。自らは「母親似」というが、ほほえむと浮かぶ目尻のしわは、父・秀征を思い起こさせた。

 小学1年から「野球一筋」だったが、高校3年の冬に家族で白城の舞台を観劇したのが転機となった。スポットライトの中心に立ち、観客の視線が一点に注がれる姿は「本当に格好良くて」。物心ついた時からテレビで父や母を見るのは「日常」だったが、初めて生で目の当たりにした瞬間は体が震え、鳥肌が立った。大学でも野球を続けたが、その日以来ずっと脳裏には母の残像があった。

 大学3年になり、進路の話題になった夕食の席で、家族に明かした。「俳優をやりたい」。父は箸を置くと、諭すように話した。「勧めもしないけど、否定もしないよ。華やかな世界だし、良いこともあるだろうけど、そのぶん大変なことも多いから簡単なことじゃないよ」。白城もうなずき、「簡単に諦めないようにね」と背中を押してくれた。事務所に入所し、1年間レッスンを重ねた。くしくも初仕事となるドラマのオファーは、野球時代と同じ坊主頭の修行僧だった。
https://hochi.news/images/2022/04/05/20220405-OHT1I51312-T.jpg
 16年間続けた野球では、自身よりも応援に来た両親の方が注目されることもあった。投手だった大学ではイップスも経験し、アンダースローに転向。そんな苦難の時も、いつも頭を刈ってくれたのは父だった。丸刈りにするため、「いつものように」バリカンを手渡すと、機械音と父の声が重なった。「とうとう始まるな」「簡単に売れることはないけど、とにかく誠実にな」「一生ご飯を食べていくことを考えて努力して頑張ってな」。背後から聞こえる父の言葉に、何度もうなずいた。
https://news.yahoo.co.jp/articles/f66e278dbf5400b2703d3737211a74340cf7db5e
 野球部の時より少し長い12ミリの坊主頭は、覚悟の証し。「親の名前で語られることはあると思いますけど、実力さえ伴えば、それを覆している“2世”の方もたくさんいる。小さな頃からの家の教えは『好きなことを自由にしていいから、責任と覚悟を持ちなさい』。その言葉通りに、自分の努力次第で変えられると思う。全力でやります」。力強く話すと、少し照れくさそうに頭をかいた。