「人類は宇宙でひとりぼっちなのか」という疑問は、何十年にもわたって専門家を悩ませてきました。
しかし今、地球のデータを含むメッセージを宇宙に向けて送信する計画が着々と進んでいます。
このメッセージは「Beacon in the Galaxy(BITG):ビーコン・イン・ザ・ギャラクシ」と呼ばれており、直訳すれば、”銀河における灯台”を意味します。
まさに、地球が広い銀河の中の「灯台」として、私たちの存在に気づいてもらおうというプロジェクトです。
一体、何をどういう形で送ろうとしているのでしょうか?

今回の計画は、1974年に同じ目的で送信されたアレシボ・メッセージ(Arecibo message)と同様の手法を採用しています。
このメッセージは「0」と「1」の繰り返しによるバイナリコード(二進数)の形で送信され、解読者がその数列を2次元の四角形に並べ替えることを意図しています。
すると、メッセージがピクセル化されたビット画像として表示される仕組みです。
そして、今回の「Beacon in the Galaxy(BITG)」は、アレシボ・メッセージより、さらに多くの情報を盛り込んだ改良版となっています。
たとえば、男性と女性の姿を描いたスケッチ、現在の地球の大陸マップ、太陽系の図、DNAの構造図、地球の化学物質の組成などです
それから、メッセージを受け取った生命体が返信に使うべき無線周波数や地球の詳しい位置情報も含まれています。
しかし、この計画には欠点もあるという。
それを次に見ていきましょう。

地球外知的生命体探査(SETI)の科学者であるフランク・ドレイク(Frank Drake)氏は、
アレシボ・メッセージのプロトタイプを設計した際、ノーベル賞受賞者数名を含む同僚にそのバイナリメッセージを送ったという。
ところが、わずか1人をのぞいて、誰もそのメッセージを解読できなかったのです。
このように、人類間でもうまく伝わらないメッセージが、地球外生命体に確実にメッセージが伝わるでしょうか?
また地球外生命体が”我々とは異なる感覚器官”で生活していた場合も、この計画は意味を持ちません。
たとえば、目がないか、あるいはコミュニケーションに視覚を必要としない生命体かもしれないのです。

しかし、最も深い問題は、本当にメッセージを送る必要があるのかという点でしょう。
これについては、イギリスの宇宙物理学者、スティーブン・ホーキング博士が、生前に指摘していました。
ホーキング博士は、宇宙人からの信号を受信する取り組みは支持したものの、こちらから積極的にメッセージを送ることには警告を発しています。
というのも、地球外生命体が私たちに対し、友好的でない可能性が大いにありうるからです。
もし、二足歩行の生き物を好物とする異星人に、地球のアドレスを教えてしまったらどうでしょう?
「私たちを食べに来て!」と言っているようなものです。
また、地球の歴史を振り返ってみても、文明レベルが異なる国家同士の接触は、ほとんどが不幸な結果しか生んでいません。
今回の計画は、インカ帝国が自ら「黄金がいっぱいあるよ」とスペイン人にメッセージを一生懸命送っているようなものかもしれないのです。
https://nazology.net/archives/107183