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[東京 7日 ロイター] - 日銀の野口旭審議委員は7日、熊本県金融経済懇談会後の記者会見(オンライン形式)で、日本の課題はデフレや低インフレからの早期脱却であり、円安よりも円高の方が困ると述べた。円安が日本経済にもたらすメリットとデメリットを比較すれば、プラス面の方が大きいとした。

野口委員は懇談会の挨拶で、エネルギー等を除いたインフレの基調は極めて低い水準にとどまっているとし、政策課題はインフレの抑制ではなく「デフレあるいは低すぎるインフレからの脱却だ」と述べた。

会見では円安のメリットとして、輸出収益や海外進出企業の円建て収益の増加を挙げたほか、輸入品の価格高騰で国内生産で代替が進む可能性があるとも述べた。

野口委員は、資源高でインフレ期待が上がっているものの「長期的に続いた低インフレやデフレへのマインドが根本的に転換されたのかと言えば、おそらくそこまでは行っていない」と指摘した。

1日発表の3月日銀短観では企業の販売価格判断DIが歴史的な高水準となった。野口委員は「企業の価格転嫁が少しずつ可能になってきたことは歓迎すべきことだが、まだ十分ではない」と語った。