小学生の下山夢叶(ゆめか)ちゃんの疑問は、「職業ごとに同じ給料じゃだめなんですか?」というもの。

一般的に、医師などの専門職は給料が高く、コンビニ店員などは給料が低い。また、同じ職場でも新人とベテランではもらえる給料に差がある。「皆同じじゃないのは不公平だ」というのが彼女の言い分だ。

参加した子供4人のうち、同じ意見だったのは3人。なるほど、素直な子供はそこに疑問を持つのかと感心させられる一方、「そういうものだから」「あなたも働きだせば分かるから」とあしらってしまう大人は多いだろうと感じた。

では、どう答えるといいだろう。

「おかね初段」として小沢さんがお芝居を例に、主演女優とせりふがひと言しかない女優が同じ給料でもいいと思うかと聞くが、子供たちは納得しない。そこで「おかね名人」藤野氏の出番。

頑張った人がたくさんお金をもらうのはいいこと
藤野氏が例に使ったのは、医師の標榜科だ。

夢叶ちゃんは、外科に比べて皮膚科や眼科は給料が低そうという印象を抱いている。命に関わる重篤な症状が比較的低いのがその理由だろう。

それに対し藤野氏は、今は病気で病院に行く人よりも健康で病院に行く人のほうが多いことを挙げ、「男女問わず綺麗でいたいという要望が多く、美容皮膚科は大人気だ」と指摘。美容皮膚科の施術は自費診療の場合も多いため、一概にほかの科に比べて儲けが少ないとは言えないだろう。

「給料の差は、お金を出したいと思うお客さんの差であると言える」と藤野氏は言う。つまり、よりお金を出したいというお客さんがいるかどうか。

さらには、お客さんにたくさんお金を払ってもらうためには工夫や努力が必要で、それも給料の差を生むと説明する。

コンビニ業界でも同じだ。姿を消したコンビニも多いなか、現在の業界シェアはセブンイレブン、ローソン、ファミリーマートの3社で90%以上を占める。

これらのコンビニ間でも、商品開発力、ブランド力、売り上げは違う。また個々の店舗でも責任者の頑張り次第で大きく差が出て、それが給料の差につながる。

「頑張った人がたくさんお金をもらうのはいいこと。給料を同じにするのではなく、頑張った人が寄付をして世の中にお金を回して調整していけば、貧富の差はなくなる」

「不公平な社会をつくらないためにどうすべきか」は別の課題として考えたほうがよいのではないか、という答えに、質問者の夢叶ちゃんほかリモート中継に参加した小学生全員が納得した様子だった。

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