熊本県産アサリ認証へ、官民の新組織発足 国が補助金を検討

 熊本県産アサリの流通正常化に向け、県が構築を進めているトレーサビリティー(生産流通履歴)や産地保証に関する独自の制度に関して、県や漁業者、販売業者らが新たに官民組織を発足させたことが9日、関係者への取材で分かった。国は県主導の取り組みに理解を示しており、この組織に補助金を認め、貝類の流通制度の「見える化」を促すモデル事業にする構えだ。

 新組織の名称は「県産アサリバリューチェーン改善協議会」。水産物の流通構造改善に取り組む実施主体として7日付で設置。地元の県漁連や鶴屋百貨店、大海水産に加え、システム構築に携わる自動車部品メーカーのデンソー(愛知)がメンバーで、同日、農林水産省の「バリューチェーン連携推進事業」の補助金を申請した。

 県流通アグリビジネス課によると、生産流通履歴や産地保証に関するシステム開発費として約2400万円を見込んでいる。国の事業採択が決まれば半額の補助を受けられる。残額については、2021年度一般会計補正予算に計上した産地偽装対策費1億5100万円の一部を繰り越して充当する方針。
 県が構築を目指している新制度は、県産アサリの適切な流通に向け、県漁連が認定した工場で砂抜きや選別したアサリを統一規格のネットに袋詰めすることで外国産の混入を防ぐ。

 工場や小売店などでDNA検査を行い、ネットごとにQRコードを発行。消費者は店頭で取扱業者や出荷日、販売量などの情報をスマートフォンで確認できるようにする。スマホを操作して、県漁連が発行する産地証明書も入手できる。

 新制度は、約2カ月の出荷停止を経て12日に漁が再開される県産アサリから随時、適用。6月中の本格運用を目指す。
https://news.yahoo.co.jp/articles/b51c3d98c769e68a61b83ac79fc0d83fe48cb04a