ネットで調べてみると、すでにVRは多方面で活用されているように見える。そこでまず新築マンションをVRで「疑似体験できる」という会社に電話で問い合わせてみると、「そのサービスは終了しました。今後の予定もありません」と素っ気ない返事。結婚式にVRで参加できると宣伝しているウエディング会社もなぜか連絡がつかない。建築業界ではVRを使った設計が始まっているとのことだったのだが、ある一級建築士に訊いてみると「パソコンの3Dパースで十分です」とにべもない。

スマホに連動したVRも話題沸騰のはずだが、実際に家電量販店でたずねてみると取り扱いをやめたという。「なぜ?」とたずねると、「VRは流行りませんでした」と過去の遺物のように釈明されたのである。

もしかしてブームが仮想現実なのではないか。

疑いを抱いた矢先に目にしたのが「VR Cycle」の看板だった。渋谷にあるスポーツジム。VRを見ながら自転車を漕ぐそうで、「視覚的な達成感」(パンフレットより、以下同)を味わいつつ、「ワークアウトしていることを忘れてバーチャルな世界に没頭」できるらしい。早速、私は体験コースに申し込み、ジャージ姿で自転車に跨またがった。

https://president.jp/articles/-/56316?page=1