「核戦争は悪意ではなく“誤報”が引き起こす」と仏哲学者が警告する理由
冷戦時は運が良かっただけ
──ここ数週間で核戦争の脅威が再び高まってきました。多くの人がすでに過去のものだと考えていた脅威です。社会における、核についてのこうした認識の甘さをどう見られていますか。
哲学者ギュンター・アンダースはこうした「世界の終末を前にした盲目」について語っています。
彼は1950年代から、人間が成し得ることと考え得ることの差が拡大してきたことを強調していました。
今日の呑気な態度は、政治学者ブルーノ・テルトレのような人々によってメディアのなかで続けられています。
彼は、プーチンは絶対に核のボタンを押さないと繰り返し発言しています。彼は何を知っているというのでしょうか。
私の考えでは、核戦争を引き起こすのは当事者の悪意ではありません。何らかの事故、あるいはエラー、誤報、誤解の連鎖が引き起こすのです。
映画『フォッグ・オブ・ウォー:マクナマラ元米国防長官の告白』で元長官は、冷戦時代、大惨事まで間一髪だったことが何十回もあったと語っています。
では、それはなぜ起こらなかったのか。「運が良かったから」というマクナマラ氏の答えは示唆に富むものでしょう。
https://news.yahoo.co.jp/articles/3153f9f3b9d90ac48bb090c9890764e02496723e