テレビ各局がアニメに一気に注力!新しい動きのTBS、日本テレビ、NHKを追った
https://news.yahoo.co.jp/byline/shinodahiroyuki/20220410-00290697


『鬼滅の刃』の世界的大ヒットを受けて日本のアニメに対する国際的な需要が伸び、アニメビジネスが爆発的に拡大している。
配信の環境が整ったことや、コンテンツが海外市場に売れるようになってビジネスの規模が大きくなったことなど、様々な要因が重なり、テレビ局はアニメビジネスを一気に加速しつつある。

 これまで比較的後発と言われてきた局も、日本テレビがアニメ事業部を新設して快進撃を行っていたり、TBSが水面下でかなり取り組みの体制を作っていたりと、アニメビジネスへのシフトを急速に強めている。
 ここではその中から、TBS、日本テレビ、NHKの取り組みを紹介しよう。


 さて何といってもニュース性があるのがTBSの取り組みだ。同局が水面下でどんな準備を進めているのか、これまではほとんど知られていなかった。
今回、かなり詳しく話していただけたのは、ちょうどこれから対外的に明らかにしていこうと同局が考えていた時期だったからだろう。まずはその内容から紹介しよう。

TBSがアニメ事業への大きな取り組み
『鬼滅の刃』の世界的大ヒットは弊社に対してもインパクトが大きく、今一度アニメに注力しようという意識が高まっています。
『VISION2030』という、2030年を見据えた中期経営計画があるのですが、その中にも『アニメへの投資を本格化させる』という方針が謳われています。
 できれば劇場用アニメにもトライしたいと考えています。私が以前プロデューサーを務めた『シンカリオン』も、テレビアニメ放送の後に東宝映像事業部の配給で、劇場用アニメを製作しましたが、テレビから映画という流れがまた作れたらと思います」
 アニメに本格的に取り組むという方針は着々と実行に移されつつあるらしい。
「この1月に発表したのですが、セブンアークスというTBSグループ内のアニメ制作スタジオに25億円の投資を行い、潤沢な製作費をかけてハイエンド作品を作れるスタジオにすべく、人材と設備の強化を進めています。
 またグループ内には、DeNAさんと一緒にやっているマンガボックスというマンガアプリの会社もあります。現在私の部が行っているのはアニメの企画に出資してビジネスを行うことですが、将来の理想として、マンガボックスで産まれたIPをアニメ化し、その制作をセブンアークスで担い、アニメ事業を頭からケツまで全てグループ内で完結することができたらと思います。
 さらにこの春、TBSグループ内に海外プラットフォーム向けの新事業会社が立ち上がりました。地上波の放送を前提とせず、世界に向けてTBSブランドの映像作品を届けることを目指す会社なのですが、アニメ事業も関わっていくことになると思います。
 映画・アニメ事業部の人員増強は昨年7月から始まっており、局内異動だけでなく、グループ会社からも増やしました。昨年キャリア採用も行いまして、この4月に入社する新しいメンバーもいます」(渡辺部長)


一昨年アニメ事業部新設!日本テレビの積極方針

 日本テレビは2020年10月にアニメ事業部を新設し、アニメ事業に大きく舵を切った局だ。それまでも『名探偵コナン』を放送しているイメージがあったが、これは日本テレビ系の読売テレビの制作。
日本テレビがアニメを冠する部署を作るのは、実はこの時が初めてだ。アニメに対する海外の関心の高まりを見て、アニメに本格的に取り組む必要性を感じて旗揚げをしたのだった。
 アニメ事業部はグローバルビジネス局に属し、担当局次長を兼務する桑原佳子部長はそれまで3年半、海外事業部長を務めていた。ちょうど1年前に話を聞いた時、アニメ事業部新設の背景をこう語っていた。
「私は海外事業を5年半くらい担当してきて、日本のアニメに対する海外の関心が高いことを痛感してきました。
これまで国内のアニメ制作を行ってきたチームと海外事業のチームが合体してできたのがアニメ事業部、海外へのセールスと配信が大きな柱です。
 アニメ事業部を立ち上げてから、海外企業のトップから直接話をしたいという申し出も多く、大きな反響に驚いています」

 アニメは今、多くの会社が名乗りをあげて製作が追い付かない状態になっており、3年先を見据えた競争が展開されている。
日本テレビとしては、将来に備えた強化策を次々と打っているところだ。
「この3月、キャリア採用の募集をかけ、アニメのプロデュースとビジネスとそれぞれ経験者を採用します」(桑原部長)

https://news.yahoo.co.jp/byline/shinodahiroyuki/20220410-00290697