地下駐車場CO2事故 責任者、仕組み誤認か「作動しないかと…」
2022/4/13 18:30
https://mainichi.jp/articles/20220413/k00/00m/040/205000c

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東京都新宿区のマンション地下駐車場で2021年4月、消火設備が突然作動し、放出された二酸化炭素(CO2)を吸った男性作業員4人が亡くなった事故で、
現場責任者の男性が警視庁に「起動ボタンを押さなければ消火設備は作動しないと思っていた」と説明していることが捜査関係者への取材で判明した。

実際はボタンを押さなくても感知器が熱と煙に反応すれば動く仕組みだった。
同庁捜査1課は現場責任者らの誤った認識などが事故につながった可能性が高いとみて業務上過失致死傷容疑で捜査している。

◆消火設備の仕組みと事故の経過

捜査関係者によると、地下駐車場の天井には消火設備の感知器が12カ所あり、うち8カ所は熱、4カ所は煙に反応する構造だった。

設備は熱と煙の両方を検知すると火災が発生したとして二酸化炭素を放出し、酸素濃度を下げることで延焼を防ぐ仕組みになっていた。
事故では、最初に熱の感知器、約2時間半後に煙の感知器が反応して設備が作動したとみられる。

当時、作業員らは複数の感知器を取り外し、天井板の交換後に再び感知器を付け直す手順で作業をしていた。

捜査関係者によると、熱の感知器を手袋などをした状態で持つと熱がこもり、再び取り付けた際は感知器が熱を検知した状態だった可能性が高いことが分かった。

また、作業員が煙の感知器の設置場所に、誤って熱の感知器を取り付けていたことも判明。

同様に熱を検知した感知器を付け直したことで、煙が出たと判断されたとみられる。

捜査1課は、熱を検知した二つの感知器を熱と煙の感知器があった場所にそれぞれ取り付けたことで、設備が作動した可能性があるとみて裏付けを進めている。

一方、作業中は二酸化炭素の放出を防ぐ閉止弁は閉められていなかったほか、設備の電源は入ったままだったという。

当時の記事
https://mainichi.jp/articles/20210415/k00/00m/040/406000c

15日午後5時ごろ、東京都新宿区下落合4のマンション地下駐車場内で、男性作業員6人が天井の張り替え作業をしていた際、消火設備が突然作動して駐車場に二酸化炭素が充満した。

警視庁戸塚署などによると、5人が救助されたが、30代から50代の4人の死亡が確認され、20代とみられる男性は重体。30代の男性は自力で脱出して病院に搬送されたが、意識ははっきりしているという。