2011年から内戦が続くシリア西部ホムスで今春、日本の市民団体が内戦直前に植樹した1本の桜が初めて咲いた。シリア政府を支援するロシア軍の空爆などで約4万人が犠牲となり、復興の途上にあるホムス。住民たちは、空爆を生き延びた桜を日本とシリアの友好の証しとしてめでている。(カイロ・蜘手美鶴)
◆100本植え、現在確認できるのは唯一
 空に向かい真っすぐ伸びる細い枝に、薄ピンクの花が揺れている。3月中旬、ホムス中心部にある文化複合施設。「こんなに誇らしいことはない。一生懸命世話したことに桜が応えてくれた」。施設管理者ハッサン・アラバッドさん(41)は、本紙の電話取材に声を弾ませた。

桜を植えたのは市民団体「日本シリア親善協会」(相模原市緑区)。親善協会は11年3月、首都ダマスカスやホムス、北西部アレッポなど4都市に計100本の桜を植樹。ホムスには10本が植えられた。しかし、その後の内戦で主要都市は破壊され、現在はホムスの1本しか確認できていない。

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