「コロナ後遺症」相談相次ぐ 実態と影響は? 厚労省が調査開始
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220416/k10013585121000.html
新型コロナウイルスの第6波は感染のピークを越えていますが、医療機関にはオミクロン株に感染したあとの
後遺症とみられる症状に悩む患者の相談が相次いでいます。
厚生労働省は今月から新たに後遺症の実態と影響を把握する調査を始めています。

オミクロン株の感染が拡大した第6波では、先月末までに全国でおよそ460万人が感染し、専門の外来を設けている
医療機関には味覚や嗅覚の異常のほか、けん怠感や集中力の低下などの症状に悩む患者が相次いで相談に訪れています。

こうした中、厚生労働省は後遺症の実態の把握と新型コロナが医療態勢に与える影響を調べるため、
今月から2億円の予算をかけて調査を始めています。

具体的には、国の研究班が今後の流行も踏まえて、オミクロン株の感染後にどんな症状が続いているかや
引き起こされる合併症、それにその要因などについて調査するということです。

また厚生労働省は今後、最新の知見をもとに、後遺症とみられる患者の診察やリハビリの方法などを示した
手引きを改訂し、症状に悩む人が地域の医療機関で迅速に治療を受けられるようにしていきたいとしています。

厚生労働省は「新型コロナの後遺症についてはまだ明らかになっていないことも多いが、病態の把握とともに、
適切な医療につなげられるよう取り組んでいきたい」としています。


■専門家 患者数多く、後遺症出る人が増える可能性指摘

ことし3月まで新型コロナの後遺症を調べる国の研究班の代表を務めた高知大学医学部の横山彰仁教授は、
オミクロン株に感染したあとで出る後遺症について、まだ詳しくは分かっていないものの、オミクロン株に
感染した人はそれ以前に比べて格段に多いため、後遺症を訴える人も増えるおそれがあるとしています。

横山教授によりますと、新型コロナに感染したあとに出る後遺症は、コロナで息切れや筋力低下など
重症になった人に出やすいものと、けん怠感や嗅覚・味覚異常など重症でも軽症でも出るものがあるということです。

新型コロナの後遺症についてWHO=世界保健機関は「発症から3か月後から始まり、少なくとも2か月は続く症状」としていて、
オミクロン株の感染後に出る後遺症についてはまだ詳しく分かっていませんが、横山教授は「後遺症が出る頻度は、
軽症が多いとされるオミクロン株では低くなっていると考えられるが、患者の数は極めて多いので、後遺症が出る人も
非常に多くなるのではないか。実際に後遺症に苦しんでいる人も出ていて軽視はできない」と話しています。

また新型コロナへの感染では重症化しにくい、若い世代でも後遺症がみられることについて、「オミクロン株は比較的
若い人でも多くの人が感染し、現役世代にも非常に大きな影響を及ぼしている。後遺症の症状を登録して実態を把握し、
起きる仕組みをできるだけ早く明らかにするための研究を進めることが重要だ。ワクチンを打つと後遺症の頻度が
減るという報告が海外から出ているので、ワクチン接種も重要だ」と話しています。
(つづく)